天気と生産性の研究では、悪い天気の日ほど生産性が高まるという調査結果が発表されました。
雨の日が生産性を向上させた研究
この研究(1)は悪天候が労働生産性を向上させるという仮説から実験を2つ行っています。1つ目の実験では日本の銀行にある住宅ローンのアーカイブデータを元にして、天候と労働生産性の関係を調査しました。作業を行った銀行員は111人で、2年間で598,393件も取引を完了しています。
2つ目のハーバード大の学生136人を対象にした実験では、以下の4つに分けています。
グループ分け
- 屋外の選択肢あり&雨:36人
- 屋外の選択肢あり&晴れ:32人
- 屋外の選択肢なし&雨:33人
- 屋外の選択肢なし&晴れ:35人
屋外の選択肢ありの人は天気の良い日に行われている野外活動の6枚の写真を見て、各活動を評価するように求められました。あとは以下のようなタスクをしています。
診断内容
- データ入力タスク
- 記憶タスク
- 感情評価
- 主観的な天気の認識:当日の天気について
- 生産性:データ入力作業に費やした時間を計算
- エラー率
実験1とは違い、介入をする形なので、認知テストや天気の認識を測定しています。
結果は以下のような感じ。
結果
- 雨の標準偏差が1増加すると、作業完了時間が0.7%減少と関連した
- 視認性の標準偏差が1増加すると、作業完了時間が1.2%増加と関連した
- 生産性は天気に関わらず、屋外の選択肢ありで有意に負の相関が確認された
- 雨の日で屋外の選択肢があると、生産性は著しく低下する
- 雨の日は屋外への選択肢が無い限り、生産的になり得る
- 外部の選択肢にさらされるとエラー率が大幅に増加した
これらの結果から、悪い天気の日ほど生産性が高くなるとわかりました。この結果は悪天候になると、外部の選択肢について考える必要がなくなるため、エラー率が低下するということです。面白いですね。
しかし、必ずしも天気が悪ければ生産性が高まるというわけではなくて、雨の日でも外部の選択肢が残っている場合は生産性が低下します。外部の選択肢が頭の隅にあると、注意散漫になってしまうわけです。
著者は今回の結果について以下のように述べています。
私たちの研究は、気象条件が自分自身の認知と集中にも影響を与えることを証明している。認知的注意散漫の可能性を減らすことで、悪天候でも個人の注意力と集中力を維持し、結果として生産性を向上させることができました。
個人的にも雨の日の方が集中できる気はしていましたが、ここまできちんとした理由があったとはびっくり。雨が降ってきたら、屋外の選択肢はなくした方が良さそうですね。
それではぜひ参考に。