睡眠と認知機能を調査した研究では、たった16分の睡眠不足で認知機能が低下するという衝撃の結果が発表されました。
たった16分の睡眠不足が認知機能やストレスに問題を起こす
この研究(1)は夜の睡眠変数(睡眠時間や睡眠の質、入眠までの時間、タイミング)が認知機能と関連しているかを検討したものです。参加者はフォーチュン500に含まれるアメリカ企業の従業員130人を対象としました。
実験はシンプルで8日間連続で、夜に電話をかけて睡眠や認知障害について質問をします。質問内容はこんな感じ。
質問内容
- 睡眠のタイミング:起床、就寝
- 睡眠時間
- 睡眠の質
- 眠りにつくまでの時間
- 認知関連:集中できたか、自分の考えが止められないことがあったかなど
- ストレス
電話は約20分続きます。結果は以下のような感じです。
結果
- 通常より18分早く目覚めると、その日の認知的干渉が多かった
- 前日の睡眠が16分減少すると、認知障害の1単位増加と関連していた
- 男性や独身、長時間勤務者は有意に短い睡眠時間を示した
- 睡眠回復の低下はより多くのストレスと関連していた
- ストレスは認知障害との関連も見られた
- 睡眠時間・質と翌日の認知機能との関連は就業日で有意だったが、休みの日は有意ではなかった
これらの結果から、早い起床や睡眠時間の短さ、悪い睡眠の質は翌日の認知障害と関連していました。睡眠が悪いとパフォーマンスが落ちるのはイメージしやすいですが、16分短いだけで関連が見られるとはビックリです。
特に今回は睡眠回復の低下がストレッサーを増加させて、認知機能低下をもたらす可能性が出てきました。この結果について、著者は以下のようにアドバイスしています。
本研究の知見はなぜ職場が従業員の睡眠を促進するためにより多くの努力をする必要があるかの経験的証拠を提供する。睡眠が良好な人は仕事に集中する能力が高く、ミスや人間関係の衝突が少ないため、仕事でのパフォーマンスが良いかもしれません。
睡眠と認知機能の関連について考えると、「睡眠が認知障害を起こす」と「認知障害が睡眠に悪影響を起こす」の2つのパターンが考えられます。結論から言うと、どちらもありましたが、「睡眠→認知干渉」の方が有意に良好でした。
認知障害が睡眠に悪影響を及ぼすの方はイメージが湧きにくいかもしれません。研究では、1日の認知干渉が多いほど、眠りにつくまでの時間が長くなりました。この辺りも参考になる結果ですね。
それではぜひ参考に。