最近発表された研究によると、次の予定が決まっていて空き時間が決まっている場合は生産性がガタ落ちするという結果が出ました。
「次の予定は1時間後、やることはない」時の生産性
この研究(1)は予定までの空き時間がどのように認識されて、消費されているかを調査したものです。実験は8つ行われていて、ガッツリと調査されています。
8つの実験を紹介するのは厳しいので、3つの実験をざっくり見ていきます。詳しい実験内容が見たい人は論文をぜひ。
それでは3つ実験を見ていきます。
主観と客観でタスクに影響出るのか
198人を対象にした実験では、友達が今夜遊びに来ることを想像してもらいました。時間制限ありとなしで、以下のように分けています。
グループ分け
- 時間制限あり:1時間後に遊びに来る
- 時間制限なし:いつ来るかわからない
前提として「友達が来る準備はできている」という設定になっています。そして参加者をこれまた半分ずつに分けて、以下の2つのどちらかを質問しました。
質問
- 主観的:あなたは次の1時間で、何分ぐらい読書できますか?
- 客観的:客観的に見て、1時間の何分くらい読書できますか?
ざっくり言うと、2(時間制限ありとなし)×2(主観と客観)に分けて比較したわけです。
結果
- 次の予定時間が決まっていると、空き時間を短く感じた
- この効果は主観的な見方をしている場合のみだった
この結果は現実でも空き時間で何かの作業をするときの時間が減っていることを示しています。とても興味深い結果ですね。
タスクの長さによってやる確率に影響出るのか
この実験は200人を対象として行われました。内容は1とほとんど同じで、友達が来る設定です。
グループ分け
- 時間制限あり:1時間後に遊びに来る
- 時間制限なし:いつ来るかわからない
ここから5分間隔で以下の12パターンに分けました。
タスクの長さ
- 5分
- 10分
- 15分
- 20分
- 25分
- 30分
- 35分
- 40分
- 45分
- 50分
- 55分
- 60分
そして、「次の1時間でこのタスクをやる可能性はどのくらいあるか?」と質問しました。すると、結果は以下のような感じ。
結果
- タスクが長くなるにつれてやる可能性は低くなった
- 25分以内のタスクだと、時間制限の有無で違いは見られなかった
このことから時間制限があるとき、空き時間の半分以上かかるタスクを実行する意欲が低くなるとわかります。逆に短いタスクの場合は時間制限なしと変わらず、実行しやすいみたいですね。
時間が限られている時、分割できない仕事に影響はあるか
この実験は600人の参加者を対象として行われました。今までと同様に以下の2つに分けています。
グループ分け
- 時間制限あり:3時間後に遊びに来る
- 時間制限なし:いつ来るかわからない
前提条件は同じで、すでに準備は完了しています。その上で以下のいずれかの質問をしました。
質問
- 1話55分×3話のドラマをどのくらい見ますか?(合計2時間45分)
- 2時間45分の映画をどのくらい見ますか?
要するに2(時間制限あり、なし)×2(分割のしやすさ)で比較したわけです。
結果
- 長くても分割可能ならやる可能性が増えた
- 逆に長くて分割できないタスクはやる可能性がガクッと落ちた
面白いことに、長くても分割できるタスクは可能性が変わらず、分割不可ではガクッと落ちました。この結果はタスクが制限時間内に達成可能でないと感じた時、利用可能な感じでもモチベーションがなくなるという説を支持しています。
まとめ
ここまで3つの実験を見ましたが、次に予定が決まっている場合の空き時間はタスクへのモチベーションが低下します。簡単な対策としてはスケジュールに空き時間を作らないようにするというのが挙げられます。著者も以下のように述べています。
本研究ではスケジューリングが代わりに時間を短縮し、利用可能な時間の消費を減らすことを見出した。したがって、著者らの結果は目標が時間知覚と消費を最大化することであれば、消費者は時間的境界の数を最小化することで、利益を得ることができることを示す。
とはいえ、スケジュールが自分の都合だけで決められない場合も多々あります。その場合は以下のような作業をしてしまうと、生産性が下がるので注意が必要です。
診断内容
- 空き時間の半分以上を使うタスク:金銭的インセンティブがある場合でも
- 分割ができないタスク
この場合は空き時間に重要な仕事をするべきではありません。この時間は生産性・モチベーションが落ちていると考えて、メールの返信など細かい仕事をするのがベストです。
それではぜひ参考に。