肥満は健康的な悪影響が有名ですが、経済的にも損失があるという無慈悲な調査結果が出ていました。系統的レビューでは、肥満による生産性低下によって間接費が高くなっているとわかります。
肥満が生産性低下を起こすという系統的レビュー
この研究(1)は肥満による生産性損失を検討した系統的レビューです。過去の論文を精査した結果、50件の論文が対象となりました。含まれている研究の半分以上はアメリカでした。肥満の分類は主にBMIで評価されています。
太り過ぎ | 25-29.9 |
肥満Ⅰ | 30-34.9 |
肥満Ⅱ | 35-39.9 |
肥満Ⅲ | 40以上 |
結果は以下のような感じ。
結果
- 太り過ぎによる欠勤:5,940-17,710円
- 肥満による欠勤:9,790-174,460円
- 肥満によるプレゼン費用は正常体重よりもコストが低かった
- 太り過ぎによる身体障害:3,300-4,510円
- 肥満による身体障害:2,310-48,290円
- 太り過ぎによる早死:3,190円
- 肥満による早死:23,320-128,700円
- ニュージランドの肥満による生産性損失:86億9000万円
- オーストラリアの肥満による経済損失:700億7000万円
- カナダの肥満による経済損失:297億円
- アメリカの肥満による生産性損失(3つの州のみで):4兆1000億円
- アメリカの思春期の肥満に対するコストは2020年に1049億4000万円、2050年に3兆9600億円に引き上げを提案
※1ドル110円で計算
結果は太り過ぎによって、かなりの間接費がかかることがわかりました。総じていえば、通常体重の人と比較して、仕事から多くの時間を逃し、生産性の低さによって間接費が高くなっています。わかりやすい費用では、欠勤や生活の質低下などが挙げられました。
著者は肥満による生産性低下について以下のように述べています。
過体重や肥満がミクロ経済的およびマクロ経済的レベルの両方で、相当な短期的・長期的な間接的コストを有することを確認している。したがって、公衆衛生発案の増加は効果的な企業の減量プログラムと相まって、現在過体重または肥満である労働者の生産性を大幅に改善する可能性がある。
実験は大量にあって、方法や実験の質はバラバラだったものの、結果はほぼ一貫していました。ここまで数字で出されると、肥満対策は必須と言えそうですね。
とはいえ、日本は肥満率が非常に低い国です。日本の成人肥満率は4.5%で、世界189カ国中166位となっています。日本のデータはありませんでしたが、ここまで費用はかかっていないと考えられます。
それではぜひ参考に。