夜型の人を対象とした研究では、体内リズムを2時間戻すだけでパフォーマンスやストレスを改善できると示されました。
夜型の人が就寝時間を2時間前にするとどうなる?
この研究(1)は22人の男女を対象として3週間行われました。参加者は平均2時30分就寝、10時30分起床と完全な夜型です。参加者はランダムで以下の2つに分かれています。
グループ分け
- 実験群:12人
- 対照群:10人
実験群は非薬物療法で、体内リズムを2時間前にズラしてもらいました。指示内容は以下のような感じ。
指示内容
- 起床時間の2-3時間前に起床する
- 起床後は朝日を最大限に浴びる
- 睡眠、起床時間は平日も休日も30分以内に固定すること
- 就寝時間は2-3時間前に戻す
- 夕方以降は露光を制限する
- 朝食は必ず食べる
- 19時以降は夕食を食べない
- 15時以降はカフェインを飲まない
- 16時以降は昼寝をしない
- 運動は午前中にする
やっていることは概日リズム睡眠障害の治療のような感じです。参考になる内容も多いですね。
ちなみに遵守できているかの判断としてアクティグラフィー(時計型デバイス)や睡眠日誌を付けてもらっています。また他の測定として唾液サンプルやアンケート、認知テスト、握力測定なんかも実施しました。
結果は以下のような感じ。
結果
- 実験群は2.5時間前後有意に早く体内リズムがシフトした
- 実験群は主観的なうつ病・ストレスを有意に低下させた
- 認知テストは注意力のピークが夜8時から昼12時30分にシフトした
- 実験群は朝8時と午後14時の握力を有意に改善した
これらの結果から、体内リズムを2時間前に戻すとピークパフォーマンスを日中にシフトするとわかりました。特に今回は認知的パフォーマンスや身体的パフォーマンスの他に、メンタル面の改善も見られています。薬を一切使わずに、ここまで効果があるのは素晴らしいですね。
ただし、いきなり2-3時間戻すのは中々難しいので、15-30分間隔で一週間ずつ戻すのがおすすめです。
また今回の結果について著者は以下のように述べています。
ここでは実世界におけるピークパフォーマンス時間を操作するだけでなく、夜フクロウを段階的に前進させ、メンタルと眠気の負の要素を減少させるシンプルな非薬理学的介入の能力を示す。これらの知見は多くの異なる状況でかなりの利益をもたらす可能性がある。多くの割合が夜型フクロウである一般集団において、これらの知見は精神的健康と能力を改善するための単純な戦略を提供する。
夜型の人は就寝時間を2時前後戻すだけで、幅広いパフォーマンスが改善する可能性があります。体内リズムを戻す時は実験の指示内容を参考にしてください。