最近の研究では、生産性と集中力を高めるデスクとしてトレッドミルやサイクリングバイクが注目されています。
1.健康と生産性を高めるデスクを調査した系統的レビュー
1つ目の系統的レビュー(1)では、総合的に見てサイクリングデスクが良いパフォーマンスを出しています。この研究は運動のできるデスクを研究した論文を集めて精査しました。その中で12件の研究が基準を満たしました。この研究では主に3つのデスクを比較しています。
デスクの分類
- スタンディングデスク
- スタンディングデスク&トレッドミル
- 椅子あり&サイクリング
引用元:(1)の研究のfigure1
で、結果は以下のような感じでした。
結果
- トレッドミル・サイクリングで平均心拍数が増加
- 3つの条件すべてでエネルギー消費量が増加・血圧改善
- タイピングとマウスポインティングはトレッドミル・サイクリングともに低下
- トレッドミルはサイクリングと比較して知覚精度が低下した
- トレッドミルはサイクリングと比較して処理速度が低かった
- トレッドミルは他2つと比較して認知上の利点はなかった
- サイクリングは立ちよりも覚醒度を向上させ退屈感を減少
- サイクリングは他2つよりも短期記憶と集中力を高める
- スタンディングは食後の血糖値や血圧を座りと比較して改善
これらのようにサイクリングやトレッドミルは立ちと比較して、短期的な生理学的改善や生産性向上をもたらします。しかし、トレッドミルはコンピュータ関連の作業パフォーマンスを低下させます。総合的にはサイクリングを導入するのが良さそうですね。
2.生産性と業績を高めたデスクの調査を行った系統的レビュー
2つめの系統的レビュー(2)では、認知能力を中心に評価しています。この研究は2005年から2016年の研究を対象に行われ、精査された結果、7件の論文が基準を満たしていました。対象になったデスクは(1)と同様の3つでした。
グループ分け
- トレッドミル
- サイクリング
- スタンディング
結果は以下のような感じ。
結果
- 集中力はサイクリングでわずかに改善した
- 記憶力はスタンディング・トレッドミルでわずかに増加した
- トレッドミル・サイクリングは作業パフォーマンス(タイピングやマウス)をわずかに低下させた
- 生産性は3つとも中程度の変化があったが有意差なし
- 座った状態でも生産性には影響なし
総じて、認知機能に対してはわずかな違いしか見られませんでした。動きながらだと、わずかに集中力や記憶力の増加は見られていますね。しかし、作業パフォーマンスに関しては(1)と同じ結果です。この結果については論文で、ワークステーションに慣れていないことが原因と書かれていました。
まとめ
総合的に見ると、運動ができるデスクは良い影響があると考えます。特に良さそうなのは、サイクリングデスクですかね。トレッドミルは下半身が不安定になりやすいので、椅子+エアロバイクを導入するのが良さそうです。