新しく出た研究では、不確実性を考えることがプロジェクト成功率を40%も向上させるという調査結果が発表されました。
不確実性とプロジェクト成功率の研究
この研究(1)はプロジェクト期限の不確実性を従来のプロジェクト管理に組み込む実装を検証したものです。論文の例で出されているプロジェクト管理はクリティカルパス法です。
クリティカルパスを見つけるには、上記のようなPERT図が利用されます。
ただし、利害関係者の都合によって、要件が変更になるケースはよくあります。結果としてプロジェクトの期限が変更になり、以前の作業をやり直すか破棄する必要があるわけです。そこで、この研究は締切の不確実性を考慮に入れるアプローチを検証したわけですね。
具体的にはモンテカルロシミュレーションを使用して、5-10個のアクティビティを含むプロジェクトをランダムに1000個生成しました。それから以下の2つの方法を比較しています。
グループ分け
- 従来のPERT:期限の不確実性は無視
- 修正したPERT:期限の不確実性を組み込む
この補完的活動が終了すると、プロジェクトが終了とするわけです。しかし、この補完的活動の完了時間は不明確なので、プロジェクト完了時間は不明になります。
この2つの方法の有効性を評価しました。結果は以下のような感じ。
結果
- 不確実性の考慮が最大15%のスケジュールリスク改善を示した
- 不確実性の考慮が最大40%もプロジェクト成功率を向上させた
結果は締切の不確実性に対する考慮がプロジェクト管理を大幅に改善しました。スケジュールが破綻するリスクは最大15%も改善していますし、成功率も最大40%も大きくなっています。
一般的なやり方はプロジェクト完了時間を固定して考えていくわけですが、不確実性をもった架空のダミー活動を単純に入れることで保管できるわけですね。補完活動の固定期限は不確実な期限の楽観的な見積もりとして定義されます。
著者はこの結果について以下のように述べています。
この論文の主な貢献は人為的な活動を導入することにより、プロジェクト締め切りの不確実性を認識するという、やや直感に反する新しいアイデアを導入することでした。プロジェクト期限の不確実性を認識する方法は、既存の方法論の最小限の変更のみを必要とします。このホワイトペーパーではこの考え方を紹介し、既存のプロジェクト管理の実践における潜在的な改善を推定しました。
著者によれば、利害関係者には最も遅い完了予定日以上の日数を要求するべきとのことです。不確実性を考慮に入れることで、リスクや成功率は大きく変わるので当然ですね。
ただこの研究を見ていると、プロジェクトの完了確率は意外と過大評価されがちなのかもしれません。何か計画をたてるときは予定完了日と余白を入れて、不確実性を想定しておくのが良さそうですね。
それではぜひ参考に。