目標を公に言ってモチベーションにする人が稀にいますが、目標は自分よりも目上の人に共有する方が良いという調査結果が発表されました。
目標を知ってもらうことの効果
この研究(1)は他の人に目標を知らせた場合、目標へのコミットメントが増加するかを検証したものです。具体的に言うと、目標を知る人の地位や状態が目標へのコミットメントやタスクパフォーマンスにどう影響するかを調査しています。
目標を達成するための工夫は色々ありますが、その1つが周りに目標を明かすという方法です。これはその方法に効果があるのかや詳細な部分まで検証しています。
実験では429人のアメリカ人を対象として行われました。調査方法はアンケートで、質問内容が以下のような感じ。
質問内容
- キャリアの目標:3-5年後のキャリアで、困難であるが達成可能な目標を設定
- 目標を知らせる可能性:キャリアの目標を他の人に話す可能性はどれほどか?
- 知らせる人の選択:目標を明かす場合、誰に共有する可能性が高いか?
- 知らせる人の状態:ステータスや尊敬しているかの度合い
- 目標コミットメント:目標にどの程度コミットしているか?
アンケートを収集して、分析した結果が以下の通りです。
結果
- キャリア目標を明かす可能性は高かった(3.48/5点)
- 明かす人は「親友/恋人(47.6%)」「友達(22.4%)」「上司(10%)」「同僚(9.1%)」
- 目標コミットメントと明かす人の地位は有意に正の相関が見られた
結果は目標が地位の高い人に知られることは目標へのコミットメントと関連していました。つまり、地位の高い人と目標を共有することで、目標へのコミットメントを促進できる可能性があるわけですね。
地位の低い人に目標を知らせても、目標コミットメントを促進しない点です。著者はこの結果について以下のように述べています。
本研究の結果は目標を公表する際に重要なのが「誰と共有すべきか」であるというこれまで欠けていた証拠を提供する。
またこの研究ではタスクパフォーマンスとの関係も調査されています。結果は目標コミットメントが高くなると、タスクパフォーマンスも高くなると示されました。
またメカニズムとして挙げられているのが評価不安です。評価不安とは、目標達成が自分の評価にどんな影響を与えるかの不安のことですね。これも検証すると、地位の高い目標共有者が低い共有者よりも高い評価不安を引き出すとわかりました。
つまり、地位の高い人による評価の不安が目標コミットメントに影響を与えていたわけですね。図にすると以下のような流れです。
目標を公開する時は上司や先輩に公開するのが良さそうですね。逆に後輩や部下に目標を公開しても、効果がない可能性があるので注意が必要です。
それではぜひ参考に。