Googleの「20%ルール」実は創造性を落としている説

2019年6月28日

Google20%ルール

 

従業員に自由時間を与える企業はいくつかあります。狙いは自由に行動してもらうことで、イノベーションを促進することですが、人によってはパフォーマンスが低下するという調査結果が発表されました。

 

作業スケジュールで創造性やパフォーマンスは変わるのか

この研究(1)は自律的な従業員に最適なスケジュール量を特定するためのものです。例えば、Googleや3Mなんかには20%ルール(15%も)という従業員が自由にやりたいことをやれる時間があります。

とはいえ、個人のクリエイティブや日々のパフォーマンスに対して、最適な時間についてほとんどわかっていないので、調査したわけです。実験は233人の学生を対象として実験が2つ行われました。

 

タスク

  1. 日常的なタスク(5分):2桁の数字を足す
  2. クリエイティブなタスク(5分):12文字のアルファベットからできるだけ多くの単語を作る

 

タスクはそれぞれ5分で、合計10分のセッションでした。しかし、参加者はランダムで以下の3つの手順でタスクをこなしました。

 

実験の流れ

  1. 通常通り群:日常的なタスク5分+クリエイティブタスク5分
  2. 自律的群:自分の好きなタイミングでタスクを切り替えられる
  3. 自律的&事前に設定群:自分でスケジュールを決めたが、事前に設定

 

そして参加者は衝動性を測定するアンケートに回答してもらいました。

 

メモ

衝動性とは、深く考えずに実行する行動特性のことです。測定では、「何も考えずに物事を進める」「計画をたてるか」「自制心があるか」などを質問して点数を付けています。

 

結果は以下のような感じ。

 

クリエイティブタスクの結果

 

結果

  • 自律的群は他の条件よりも有意に創造的パフォーマンスが低かった
  • 低い衝動性をもつと、自律的群でより創造的パフォーマンスが低下する
  • 低い衝動性は日常的なタスクだとパフォーマンスが低下しなかった

 

これらの結果から、自分でスケジュールを決められるモデルは創造性や日々のパフォーマンスを向上させることはありませんでした。むしろ、創造性は自発的にスケジュールを決めると、低下するとわかります。

また衝動性のレベルを分類して分析すると、低い衝動性をもつ人ほどパフォーマンスの低下が大きくなりました。面白い結果ですね。衝動性が低い人は事前に決められたスケジュールをもっている方が楽しいんでしょうね。

著者は以下のように述べています。

 

仕事の形式化が高度で、働く人々の衝動性が高い場合、企業におけるスケジュールの自律性は非常に重要である。このような環境では、3Mが15%ルールと自由時間の割り当てで行っているような労働時間モデルを従業員に提供すべきである。逆に衝動的でない人々と組み合わせた低いタスク形式化は、同等の低いパフォーマンスをもたらす。このような環境では、固定のタイムスロットを使用した事前設定が効果的です。

 

スケジュールの設定は一概に良いものがあるわけではなく、人によって異なることがわかりました。ベストなスケジュールの立て方を考えるなら、自分の衝動性を測定するのが良さそうですね。

衝動性の測定はBIS-11という30の質問で測定する方法が採用されています。ただネットには手軽にできる測定方法はなかったので、正確に測定したい人は「BIS-11 日本語版」で調べてみてください。

 

大雑把な目安

  1. 思いついたらすぐに行動する派→20%ルールのようなモデル
  2. 計画派→事前設定するスケジュールのモデル

 

Googleや3Mの自由時間を設けるやり方がすべての人にとって、クリエイティブな時間になるとは限りませんでした。むしろ、人によってはパフォーマンスが下がるので注意が必要です。個人的には完全に計画派人間なので、事前に決めてからやっていこうと思っております。

それではぜひ参考に。

 

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