大企業がデザイン思考を使用するときの7つの課題

デザイン思考

 

イヴ
今回は大企業がデザイン思考を使う時の7つの課題を紹介します。

 

大企業がデザイン思考を使う時の7つの課題

この研究(1)はデザイン思考を使用するときの課題を調査したものです。

 

イヴ
デザイン思考って何・・・?
ニコ
デザイン思考とは、デザインを行う過程で使われていたアプローチを適用して、問題を解決する考え方のことを言う。デザイン思考のコアになっている要素は以下の通りだ!

 

コアテーマ実践と原則
ユーザー中心主義定性的なユーザー調査を行うことで、潜在的なニーズを理解する。リサーチやアイデア作成、アイデアテスト、ユーザーとの対話
問題定義最初の問題に挑戦して再構成し、パターン発見やアイデア化を含むさまざまな活動を通じて、問題と解決の両方を拡大する。
視覚化アイデアや洞察を視覚的かつ具体的にして、知識を外部化し、コミュニケーションを図り、新しいアイデアを創造する。視覚的な構造化技術や大まかなモックアップ、ロールプレイなど
テスト短時間で頻繁にプロトタイプを作成して学習し(ラフ表現)、プロトタイプをユーザーと共有してソリューションを迅速にテストします。頻繁に失敗して、すぐに失敗する。
多様性あらゆる意見が集約され、意思決定が共同で行われるような多様なチームを作る。外部と連携し、さまざまな分野から多様な視点を求める。

 

今回の研究はデザイン思考を組織に適用している企業がそもそも少ないということもあって、定性的なデザインとなっています。

対象となったのは5年以上デザイン思考を使用している5つの企業です。企業はサービス業やソフトウェア業界で、インタビューによってデータを収集しています。企業の中でインタビューをしたのは以下の役職の方々です。

 

グループ分け

  1. デザイン思考の実装で中心となるマネージャー
  2. デザイン思考の経験が豊富な従業員

 

企業ごとに2-4回、合計31件のインタビューを行っています。すべてのインタビューは45分-2時間続き、すべて記録されました。

分析では、デザイン思考の使用やデザイン思考作業のアウトプットに関連する7種類の課題が特定されました。

 

結果

  • 既存のプロセスや構造に適合しない
  • 得られたアイデアや概念は実行が難しい
  • デザインの価値を証明するのは困難
  • デザインの原則/考え方が組織文化と衝突する
  • 既存の力関係が脅かされている
  • スキルの習得が困難
  • コミュニケーションスタイルが異なる

 

それぞれ説明します。

 

1.既存のプロセスや構造に適合しない

インタビューで出た意見では、デザイン思考は全体的に見て、日常業務で「殺される」傾向がありました。というのも、既存の新製品開発プロセスとの間で衝突することがしばしばあるからです。

例えば、あるインタビュー対象者は作業負荷が高い日にデザイン思考を優先することがいかに難しいかを説明し、従業員がデザイン思考のタスクを放棄することにつながったと話しました。中間管理職が通常業務に追加として行う非本質的なコストとして認識していたとか。

なので、ユーザー調査やプロトタイプのテストに必要なリソースを取得したり、一般的にデザイン思考関連の活動を実行したりするのが難しい面があったわけですね。

 

2.得られたアイデアや概念は実行が難しい

インタビューによって、デザイン思考の概念やアイデアが組織で一般的に議論されているものとは性質が異なるとわかりました。デザイン思考は潜在的なニーズに関する洞察がユーザー調査から得られ、問題定義を刷新します。しかし、製品計画で説明されている範囲と一致しなかったり、矛盾したりしてしまうわけです。

また提案されたアイデアが複数の部門にまたがり、責任が明確にならないこともあります。一方で、一部の企業ではデザイン思考が目標を事前に定義したい製品計画によって制限されたこともありました。

過去の研究でも、大企業は「多くのイノベーション」を望んでいるものの、既存の組織構造では革新的なコンセプトを処理するのが困難であると示されています。

 

3.デザイン思考の価値を証明するのが難しい

インタビューによると、懐疑的なマネージャーはデザイン思考の使用が成功につながるかを質問されたとか。

デザイン思考を取り入れるなら自然な質問ではありますが、迅速に結果を出すというプレッシャーがかかってしまいます。デザイン思考の結果を測定する難しさは本格的な市場投入までの時間が長く、ROIが価値を測定する唯一の方法である業界で特に顕著だとわかりました。

このインタビューでは企業が長期的には革新的であるという目的でデザイン思考を取り入れていましたが、インタビュー対象者は結果の証明を求める強いプレッシャーを報告しました。つまり、デザイン思考には新しいアイデアを受け入れる難しさと価値を証明する難しさの二重の課題があるわけですね。

 

4.デザイン思考の原則/考え方が組織文化と衝突する

デザイン思考は失敗からの学習に重点を置いています。しかし、リスク回避文化のある企業ではデザイン思考の活動が禁止されることもありました。インタビュー対象者の中には、組織内の人を疎外しないことや物事を異なる方法で行う難しさを語っています。

ある企業ではユーザーとのやり取りを禁止しているところもあるとか。意図としてはこのコミュニケーションが機密情報の漏洩やユーザーの購入決定に影響を与える可能性があると判断して、禁止されているようです。

アジアに子会社を持つ会社では、マネージャーと異なる意見を持つべきではないという国の文化で、デザイン思考を使う難しさを説明しています。国は書かれていませんが、日本でも思い当たる節があります。

日本の「意見の一致」を重視する文化では、意見が異なること自体望まれない場合が多々あります。しかし、デザイン思考では創造性を妨げる原因にもなるので、妨げになるケースが出てきます。

 

5.既存の力関係が脅かされている

製品開発の一部の人はデザイン思考によって、既存の主導権が脅かされると感じました。というのも、多くの決定がチームレベルに移されたため、一部のマネージャーの権限が減少し、組織内の権力が変化したわけです。

過去の研究では、根本的なイノベーションをともなう変化が既存のスキルや仕事を知っている従業員から抵抗が予想されると発表されました。

 

6.スキルの習得が困難

インタビュー対象者はデザイン思考の設計ツールや実践におけるスキル構築が難しいと話しました。プロトタイプの描画と構築による可視化は非常に有用と考えつつも、日常的に使用するのは困難です。また洞察が十分に「良いか」を判断するのが難しいという意見もあります。

もう1つの困難な点は反復をやめるタイミングです。ある会社ではやめるタイミングを強制するために、ユーザー検証に期限を設けました。またインタビュー対象者の中には、デザイン思考のトレーニング後で適した人材を見つけるのが難しいという意見もあります。

 

7.コミュニケーションスタイルが異なる

インタビューでは、デザイン思考の考え方にはコミュニケーションの壁があると指摘されました。この問題は主に人間中心主義に基づいたアイデアを議論・説明する時に発生します。具体的にはアイデアを技術要件に変換できなかったり、ユーザーの主観的な洞察はデータ主義のマネージャーには説得できなかったりなどです。

 

それではぜひ参考に。

 

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