今回は効果の高いメタ認知読書「SOAR」について解説します。
SOARとは?
SOARは人の記憶システムに基づいて考えられた学習法です。134人の学生を対象とした研究(1)でも、優れた結果を出しています。
SOARの頭文字
- S(Select,選択)
- O(Organize,体系化)
- A(Associate,関連付け)
- R(Regulate,調整)
まずは人の記憶システムについて解説します。
人の記憶システム
感覚記憶は外部の刺激を受け取ります。これは本の単語や図表などのことです。それから「注意」が無関係な刺激を取り除いて、ワーキングメモリに伝えます。
ワーキングメモリは作業記憶と呼ばれるもので、一時的に記憶しながら作業を行うものです。そこから新しい知識が「保存」・「符号化」し、長期記憶になります。
また記憶を引き出すときは長期記憶を「検索」して、ワーキングメモリで作業をします。この流れに基づいて、考えられた学習方法が「SOAR」というわけです。
SOARのやり方
1.選択(S)
このフェーズでは学習する情報を選択します。論文ではメモをとることが推奨されています。特に学生であれば、授業の後でノートを完成させるのが良いです。もしメモを取れない場合は人のノートや教科書、Googleから取り入れるようにしてください。大事なのは自分が記憶する内容を明確にすることです。
2.体系化(O)
重要な情報を選択したら、体系化を行います。SOARでは体系化の方法として以下の3つを提唱しています。
体系化の方法
- 階層:上下の関係
- シーケンス:順序ごとに並べる
- マトリクス:分類する
実際の図は以下のような感じ。
文章を図解にするイメージです。例としては以下のような感じ。
文章
水星は太陽からの距離が5,791万kmのところにある惑星です。1年は88日で、星の直径は4880kmあります。表面は岩肌で、公転速度は秒速47.3kmです。
一方で金星は太陽からの距離が1億820kmのところにある惑星です。1年は225日で、星の直径は12,104kmあります。表面は岩肌で、公転速度は秒速35kmです。私達の地球は太陽からの距離が1億4960kmあります。1年は365日で、星の直径が12,742kmです。表面は岩肌で、公転速度は秒速30kmです。
水星 | 金星 | 地球 | |
---|---|---|---|
太陽からの距離 | 5791万km | 1億820km | 1億4960km |
1年の長さ | 88日 | 225日 | 365日 |
星の直径 | 4880km | 12,104km | 12,742km |
表面 | 岩肌 | 岩肌 | 岩肌 |
公転速度/秒速 | 47.3km | 35km | 30km |
上記のように文章を図解・図表にすることで、記憶しやすくします。
3.関連付け(A)
関連付けとは、知識同士を結びつけることです。SOARではこの関連付けを「内部」と「外部」の2種類で説明しています。
内部の関連付け
内部では、新しく学んだ情報の中で関連付けを行います。今回は先ほど挙げた惑星の情報を例とします。
惑星の内部関連付け
- 太陽に近い惑星ほど、早い公転速度を持つ
- 太陽から遠い惑星ほど、1年が長くなる
- 太陽系の内にある惑星は表面が岩肌
上記のように得た知識の中で、関係を見つけていきます。
外部の関連付け
外部ではすでに持っている知識と新しく学んだ情報を結びつけます。ここでも惑星を例とします。
惑星の外部関連付け
- もし火星に移住したら、1年は地球よりも長くなる
- 惑星は太陽の重力に引っ張られているから、内側ほど公転速度が早い
このようにすでに持っている知識と新しく手に入れた知識で関係を見つけます。
4.調整(R)
調整フェーズでは、「要約」と「自己質問」を行います。要約ではここまでで体系化した情報をまとめていきます。惑星だと、以下のようなイメージです。
1.4つの内側の惑星があり、それらはすべて岩の多い表面を持っています。
2.太陽から遠いほど軌道速度は遅い。
3.太陽からの距離は公転時間に正の関係があります
一方の質問は自己テストのようなものです。天体の勉強なら、以下のようなイメージです。
地球は太陽からどのくらい離れていますか?
最大の惑星は何ですか?
どの惑星が最も速い軌道速度を持っていますか?
惑星の大きさと表面の関係は?
ここまで学んできた情報から自分に向けたテストを作成しましょう。
それではぜひ参考に。