音読と黙読の記憶力を比較した研究を紹介します。
音読と黙読の比較!科学的に効果があるのは?
科学的に優れているのは音読です。実際に音読と黙読で記憶力を調査した研究があります。
カナダのダルハウジー大学の研究(1)では、14人の学生を対象に240個の単語をランダムに記憶してもらいました。記憶の方法は以下の3つです。
グループ分け
- 大声で音読
- 音読
- 黙読
で、記憶する単語は色分けがされていて、色ごとに記憶する方法を変えました。
グループ1 | 赤→大声で音読、青→音読、白→黙読 |
グループ2 | 赤→黙読、青→大声で音読、白→音読 |
グループ3 | 赤→音読、青→黙読、白→大声で音読 |
で、実際にテストをして結果は以下のような感じ。
音読が記憶を定着させるメカニズム
音読が記憶に定着しやすい理由として生成効果の影響が挙げられています。
メモ
生成効果とは、自分が声に出したり書いたりすると記憶に定着しやすい性質のことです。
この生成効果をより掘り下げて行われた研究もあります。この研究(2)は75人の学生を対象として、80個の単語を記憶してもらう実験をしました。記憶する方法は以下の4つです。
グループ分け
- 黙読
- 他人の録音
- 自分の録音
- 音読
で、結果は以下のとおりです。

結果は音読が最も成績が良かったです。表にもある通り「視覚」「聴覚」「自己参照効果」が伴うにつれて、正答率が増しています。
著者らはこの結果から以下の3つが生成効果に貢献していると言っています。
生成効果に貢献しているもの
- 視覚と聴覚:単語を見て、声を聞く
- 運動:単語を発声する
- 自己参照効果:自分に関わる
自己参照効果とは、自分に関わるものは記憶しやすいという性質のことです。セルフ・リファレンスとも言います。上記の3つを見てみると、音読は自分ごと化できて五感を刺激するから記憶に定着しやすいというわけです。
音読の効果をMAXにする暗記のやり方
1.歌う
実は(1)の研究には続きがあって、大きな声で音読よりも効果のある方法がわかっています。それが歌です。実際の実験(1※実験3)では、22人の学生を対象として、320の単語をテストしました。記憶方法は以下の4つです。
グループ分け
- 歌う
- 大声で音読
- 音読
- 黙読
で、(1)の実験と同様に、色ごとに記憶する方法を変えさせました。結果は以下のような感じ。
歌は大声で音読やただの音読よりも高いスコアでした。このことから普通の音読よりもリズムや音色が含まれると、より生成効果が高くなるとわかります。ただ実践的にはリズムを付けて音読するので、家じゃないと辛いですね。とはいえ、記憶の定着に関してはかなり強そうです。
2.「大きな声」で音読
通常の音読よりも大きな声で音読するのは記憶が定着しやすいとわかっています。
歌が無理なら、やや声量を上げて音読するのがオススメです。これも自宅以外でもやりづらいですが、やれるときはやっていきたいですね。
3.他の人に繰り返し話す
人に繰り返し話すことは普通の音読よりも記憶に定着しやすいとわかっています。これは44人のフランス人大学生を対象にした実験(3)です。
やり方はパソコンに表示される単語を記憶していきます。面白いのが対象者は自分の声を聞こえなくするために、ホワイトノイズが聞こえるヘッドホンを着用している点です。グループ分けは以下の4つ。
グループ分け
- 黙読
- 唇は動かして暗唱
- 音読
- 誰かに音読
この中で最も成績が良かったのは「誰かに音読」でした。理由は唇を動かす運動機能に加えて、コミュニケーションエピソードに関連する脳の部位も活性化するからとのことです。
結果として単語は記憶しやすくなります。ちなみに話す相手は聞いていなくてもOKで、家族や友達だけでなく、犬や猫でも使えます。
それではぜひ参考に。