勉強法で有名なのが「模擬テスト」です。今回はこのテスト効果をガッツリ調査したメタ分析を紹介します。
模擬テストと学習効果
この研究(1)は模擬テストの学習効果を調査したメタ分析です。
メモ
テスト効果とは、模擬テストをすると読んだり書いたりするよりも記憶力が強化される効果のことを言います。他にも検索練習やテスト強化学習といった名称で呼ばれます。
この研究では以下の5つを調査しています。
調査内容
- 他の学習条件と比較して、模擬試験の学習効果はどれほどか?
- 模擬テストの機能は最終テストで、異なる学習効果をもたらしますか?
- 最初のテストでフィードバックされたかどうかによって、テスト効果はどの程度変わるか?
- 異なる環境(教室や研究室)、教育レベル、および異なる学習成果構成で学習に使用した場合、テスト効果はどのように変化するか?
- 模擬テストと最終テストのタイムラグでどれほど効果が変わるか?
テスト効果を調べた研究はかなりありますが、その中でもかなりガッツリ調査しているメタ分析です。論文を精査した結果、118件の研究が選択基準を満たしていました。
模擬テストの研究はかなり多いので、メタ分析の対象になった研究も多めですね。サンプル数は15,427人で、272個の効果量が確認されています。
調査の結果は?
1.他の学習条件と比較して、模擬試験の学習効果はどれほどか?
結果はテスト効果が復習や再読と比較して、はるかに優れていると示しています。全体の加重平均効果サイズは適度に大きく統計的有意で、模擬テストによる学習の有効性がわかります。
逆に最も人気の勉強法としては再読が挙げられます。大学生を対象とした研究では84%が再読を使用しているとか。しかし、実際には文章に対する親しみやすさが増すだけで、最小限の効果しかありません。
-
-
10の学習方法が本当に効果的かをガッツリ検証した研究がこちら
2.模擬テストの形式は最終テストで、異なる学習効果をもたらしますか?
「テストの形式は色々あるから効果も変わる?」というのは当然の疑問です。メタ分析の結果はすべてのテスト形式で中程度から大きい効果量が確認されています。具体的には混合テストと多選択肢テストで大きな効果量が得られました。
研究間で違いはあるものの、多選択肢テストは最も効果的な形式の1つです。主に暗記や事実の記憶に役立ちますが、概念的・抽象的な内容では短回答テストが役立つ場合もあります。
ちなみにテストの形式は練習と最終の形式が異なる場合よりも、練習と最終が同じ場合の方がテスト効果は強いと示されています。この辺は自然ですね。
-
-
黙読VS音読の決着がついた!暗記向きはどちらか?
3.最初のテストでフィードバックされたかどうかによって、テスト効果はどの程度変わるか?
テスト効果はフィードバックの有無に関わらず、効果が強いと示されています。つまり、フィードバックがなくてもテスト効果はあるということですね。フィードバックありとなしでは有意差がありませんでしたが、個々の研究ではフィードバックありの方が有益という結果も多いです。効果的なフィードバックの方法は今後も研究が必要です。
-
-
集中力を向上させるなら、フィードバックしろ!という意外な研究
4.環境(教室や研究室)や教育レベル、学習構成の違いはテスト効果にどれほど違いを生むか?
テスト効果は環境や教育レベルによって変わらないと示されています。異なる実験計画でも、テスト効果は中程度から大きい平均効果量を生み出しました。具体的には実験室でも教室でも強いテスト効果が確認されています。
年齢に関しても、小学生から高校生までの学生を対象にした研究でも、すべての年齢層で中程度から大きな効果量を生み出しています。環境や教育レベルはテスト効果に違いをほとんど生みません。
5.模擬テストと最終テストのタイムラグでどれほど効果が変わるか?
テスト効果は模擬テストと最終テストの時間によってどれだけ効果が変わるかを調査しています。大多数の研究は模擬テストと最終テストのタイムラグが1日未満でした。
しかし、テスト効果はすべての時間間隔で強固で、時間間隔に関係なく有効な効果が示されています。とはいえ、特に効果サイズが高かったのは1~6日でした。試験の6日前以内に模擬テストをしていれば、十分な効果がありそうですね。
-
-
復習するタイミングで成績が変わる!復習のベストタイミングがこちら
それではぜひ参考に。