今回は無線通信が記憶力スコアの減少と関連していたという研究を紹介します。
無線通信が青年の記憶力スコアの減少と関連していた
この研究(1)はスイスの中学生843人を対象にしたコホート研究です。ざっくりいうと、2012年から実験が始まり、2016年まで追跡調査を行った研究ですね。データは学校の授業中に収集された紙の質問表でした。
質問の内容は以下のような感じ。
質問内容
- 意味・言語記憶テスト
- 携帯電話の平均使用量
- メディアの使用量
- 1日の通話時間・通話回数
- テキストメッセージの数
- ゲームやSNSの使用頻度
- スマホが夜間にオンになっていたか
主に認知機能の測定やスマホの使用が中心ですね。さらに参加者の中から148人を選んで、無線通信の曝露を測定しました。参加者にはGPS付きの携帯型測定装置を3日間持ち運んでもらっています。
結果は以下のような感じ。
結果
- 意味記憶スコアはスマホの通話時間で負の相関が見られた
- 右手で電話をする人は意味記憶スコアと累積無線通信脳線量との間で有意に関連していた
- 左手で電話をする人は言語記憶スコアが大幅に減少していた(サンプルサイズは小さめ)
これらの結果から、脳の無線通信量増加は意味記憶スコアの減少と関連しているとわかりました。特にこの傾向は右手で電話をしていた人において顕著でした。
また面白いのは左手で電話をしていた人は言語記憶スコアの減少が見られた点です。こちらはサンプルサイズが小さく正確ではありませんが、記憶のプロセスと関連しているかもしれませんね。
著者は今回の結果について以下のように述べています。
私たちは無線通信が携帯電話使用中に最も曝露される領域において、意味記憶などの脳機能に影響を及ぼす可能性を示唆する予備的証拠を見出した。われわれの所見は、因果作用の決定的な証拠を提供するものではなく、他の集団で確認されるまでは慎重に解釈すべきである。
ちなみに電話をするときの対策としては耳から離すと最小限にリスクを抑えられると書かれています。例えば、イヤホンを付けたりスピーカーにしたりするのが良さそうですね。
個人的にも電話をするときはイヤホンを使うつもりです。特に電話が多い人は意識してみるとよいかもしれません。
それではぜひ参考に。
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