唐辛子は血行促進によって体を温める効果があると知られています。そんな健康にも良さそうな食べ物ですが、新しい研究によると、唐辛子の摂取量が多い人ほど低い認知スコアを持っていると発表されました。
唐辛子と認知機能の研究
この研究(1)は1989年から2011年の期間で中国の9州にわたって行われたコホート研究です。参加者は55歳以上で、合計4852人が認知テストに参加しました。認知テストの内容は以下のような感じ。
診断内容
- 口頭での記憶テスト
- 20から逆方向に数える
- 連続で7ずつ引き算
また食事の調査では平均チリ摂取量を調査しています。含まれているのは主に新鮮な唐辛子と乾燥した唐辛子で、ピーマンや黒コショウは含まれていません。この研究ではチリ摂取量に合わせて4つにグループ分けされています。
グループ分け
- 0g/日
- 1-20g/日
- 20-50g/日
- 50g以上/日
それぞれ分析すると結果は以下のような感じ。
結果
- 唐辛子摂取量が多い人ほど所得とBMIが低く、身体的に活発だった
- 50g以上/日の人は非消費者と比較して、低い認知スコアを持っていた
- 50g以上/日の人は非消費者と比較して記憶力の低さをもつリスクが2倍以上増加と関連した
- 唐辛子摂取量とともに記憶関連の有病率が増加した
- 認知に対する唐辛子の影響はBMIが低い人ほど強かった
これらの結果から、唐辛子を多く食べる人ほど、低い認知スコアと関連していました。特に記憶力の低さが2倍以上のリスクと関連していて、記憶系の有病率も高いという結果です。
またBMIが低い痩せている人ほど、唐辛子による認知機能低下リスクが高くなりました。この辺りも面白いですね。著者はこのメカニズムについて以下のように述べています。
チリ摂取と認知機能低下を結びつける機構はまだ完全には解明されていない。動物実験からの証拠は、認知におけるカプサイシンの役割に関して矛盾する結果を提供する。ある研究は中程度~重度の辛味を持つ唐辛子がラットの記憶障害を予防することを示唆した。一方でいくつかの研究ではカプサイシンが神経毒性であることを示唆している。
メカニズムに関してはまだわかっていないものの、唐辛子に含まれるカプサイシンが挙げられています。この物質は記憶障害の予防も確認されていますが、神経毒性も見られていて具体的なところは研究が必要になりそうですね。
個人的にも辛い料理は好きなので、気をつけたいところです。
それではぜひ参考に。