嗅覚と海馬は関係していると過去の研究で示されています。今回紹介する研究では、鼻呼吸が記憶力を向上させると発表されました。
記憶力を高めたければ「鼻呼吸」をするべき
この研究(1)は24人の男女を対象としてランダムで、いずれかのグループに分けました。
グループ分け
- 口にテープを貼って鼻呼吸
- 鼻にクリップをして口呼吸
そして、以下のような流れでニオイを記憶してもらいました。
実験の流れ
- 馴染みのあるニオイ(いちごなど)となじみのないニオイを記憶してもらう
- 記憶後に1時間、鼻呼吸か口呼吸をしてもらう
- 次に新しいニオイが追加された中で、ニオイが記憶したものにあったかをテスト
他にも持続的注意力(集中力)を測定するテストも行っています。で、結果は以下のような感じ。
結果
- 鼻呼吸は口と比較して、認識記憶を増加させた
- 集中力には影響がなかった
これらの結果から、鼻呼吸がエピソード記憶を増強するとわかりました。ただし、現時点ではニオイを含む情報に限るかも知れませんが、正確なことはわかりません。
この記憶力を高めたメカニズムについては以下のような可能性があるとしています。
1つの潜在的なメカニズムは、鼻の吸入が目覚めの強化の間に海馬におけるリップル波活動を高め、エピソードイベントのより効果的な再生を可能にすることです。
メモ
リップル波(SWR)とは、学習直後の睡眠で一時的に上昇する脳波のことです。記憶の定着に関わると考えられています。
あくまで仮説ですが、鼻呼吸は海馬のリップル波を活発化させる可能性があるわけです。とはいえ、大多数の人は鼻呼吸なので、どこまで効果があるのかは微妙なところです。口呼吸が癖になっている人は鼻呼吸にしてみてもよいかもしれません。
それではぜひ参考に。