認知機能を最大化する昼寝の長さを検証した研究3選

2019年4月22日

昼寝

 

認知機能を最大化する昼寝の長さについて調査してみました。

 

認知機能と昼寝の研究3選

1.短い昼寝でベストな時間はどれ?って研究

昼寝の研究は、大まかに「短い昼寝(5-15分)」と「長い昼寝(30分以上)」に分類されます。(1

 

主な利点

  1. 短い昼寝:昼寝直後から効果があり、1-3時間続く
  2. 長い昼寝:昼寝直後は眠気を起こすが、長い時間効果が続く

 

そんな中、短い昼寝で細かくグループ分けして比較した研究(2)があります。この研究は24人の健康な若者(男女12人ずつ)を対象として実験しました。この実験では実験前日に5時間睡眠をしてもらい、睡眠不足の状態で昼寝をしてもらっています。グループは以下のような感じ。

 

グループ分け

  1. 昼寝なし(対照)
  2. 5分
  3. 10分
  4. 20分
  5. 30分

 

昼寝の研究でここまで細かく睡眠時間を比較した実験も少ないので、かなり参考になりますね。テストも色々と行われました。

 

評価テスト

  1. スタンフォード睡眠スケール
  2. 気分
  3. 疲労
  4. 活力
  5. 数字置き換えタスク
  6. 文字キャンセルタスク
  7. 単純な視覚反応時間タスク

 

主に認知機能や睡眠、気分などを測定したわけです。で、結果は以下のような感じ。

 

結果

  • 5分の昼寝は選択的文字キャンセルタスクのみ改善
  • 10分の昼寝はすべてのテストで即改善し、155分持続した
  • 20分の昼寝は35分後に効果が現れ、125分持続した
  • 30分の昼寝は昼寝直後に眠気が出たが、155分まで効果が持続した

 

これらの結果から、10分の昼寝が最も効果的な昼寝時間と結論付けられています。10分の昼寝は認知機能や疲労、気分を改善しつつ、昼寝直後の眠気がほとんど無いのが良いですね。

 

2.30-90分の昼寝がベストだった研究

高齢者を対象にした研究(3)では、30-90分の昼寝が最も良い認知機能でした。この研究は65歳以上の2974人を対象としたコホート研究です。昼寝の長さは以下の4つに分類して、夜間の睡眠や認知機能を比較しています。

 

昼寝の分類

  1. 昼寝なし
  2. 短い昼寝(30分以下)
  3. 中程度の昼寝(30-90分)
  4. 長い昼寝(90分以上)

 

で、結果は以下のような感じ。

 

昼寝の認知機能

 

結果は中程度の昼寝が昼寝なしや長い昼寝よりも認知機能が有意に高かったです。また短い昼寝でも、昼寝なしよりも全体的な認知スコアが有意に高い結果でした。

この研究は高齢者を対象としたものなので、若者でどこまで適応するかはわかりません。ただ30-90分は認知機能を最大化する昼寝の時間かもしれません。

 

3.60分の昼寝が長期記憶を強化した研究

詰め込み勉強と比較した長期昼寝の研究(4)では、60分の昼寝が長期記憶に良い影響を与えました。この研究は84人の大学生を対象にしたものです。

 

テストスケジュール

(引用元:(4)の研究から翻訳修正)

 

参加者全員1時間半勉強してもらい、1時間休憩時間を取りました。休憩は以下の3グループに分かれてもらっています。

 

グループ分け

  1. 起きたまま
  2. 昼寝
  3. 勉強

 

そして、1時間休憩の後また勉強してもらって、当日と1週間後にテストをしました。すると、結果は以下のような感じです。

 

結果

引用元:(4)の研究

 

このように全体的な記憶は昼寝グループが最も良かったです。特に1週間後のテストでも昼寝のみが有意に良い成績でした。このことから勉強の合間に昼寝をすることが詰め込み勉強よりも、長期記憶につながると考えられます。勉強のときは1時間の昼寝がベストかもしれないですね。

それではぜひ参考に。

 

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