今回はチャンクの実践的な使い方を紹介します。
【簡単解説】チャンクとは?
チャンクとは、情報のまとまりのことです。本来はバラバラの情報をうまくまとめることで、理解と記憶がしやすいようになります。実は意外と日常生活でも使われています。
このように「チャンク」できる情報は意味のある単位に記憶する方が簡単なわけです。ただ実践で使おうとすると、どうやって使えばいいのかわかづらいですよね。今回は実践で使えるチャンクについての研究を紹介します。
チャンクによる知識構築の研究
この研究(1)は中国語の勉強をしたことがないアメリカ人大学生を対象として行われました。各参加者は4週間で、12回のトレーニングセッションをしています。
記憶してもらうのは64個の漢字で、一部の漢字は20倍露出しました。ちなみにチャンクしやすいよう似た形の漢字ごとに、4キャラクター×16セットにグループ分けされています。つまり、トレーニングのときは似た形の漢字ごとに記憶してもらったわけですね。
またNバックタスクでワーキングメモリも測定しています。結果は以下のような感じ。
結果
- 高頻度に出た漢字の方が回答の精度と速度が向上した
- 記憶テストでは高頻度に出た文字の方が良好な成績だった
- ワーキングメモリタスクは高頻度に出た文字で良好な成績だった
これらの結果から、見慣れた要素で構成された新しい情報を学ぶ方が簡単とわかりました。すでに慣れている形の漢字は慣れていない漢字よりも毎週早く習得できるわけです。
このメカニズムは馴染みのある刺激を記憶するのに必要なワーキングメモリが少なく済むためと考えられています。Nバックタスクで結果が出ている通り、馴染みのある漢字でパフォーマンスが向上しました。
つまり、新しいことを勉強するときは情報の親しみやすさが影響を与えているわけです。実践的にはいきなり新しい情報を取り入れようとするのはオススメできません。
著者は以下のようにアドバイスしています。
教師としても学習者としても、一度に消化する新しい情報の量にもっと意識を払う必要がある。言語や音楽、数学などの新しいスキルを教えようとする場合、多くの新しい要素を組み合わせる学習の前に、下位レベルの要素が強力な塊になるようコンポーネントをゆっくりと導入する必要があります。例えば、代数や微積分を教えるには、最初は生徒になじみのない多くの記号を導入する必要がある。知らない情報が多すぎて処理できない場合、学習は失敗するか、よくても不完全になります。
著者は新しく学んだ情報が強い塊(レンガ)になるよう要素を熟知することで、強力な建築になると言っています。特に言語の学習時には使えそうですね。
全く知らない情報をいきなり大量に処理しようとすると失敗しやすいので、小さな塊を作ってから徐々に学ぶ方が効率的なわけです。
それではぜひ参考に。