スタンディングデスクの効果が怪しい?座りすぎの害からスタンディングデスクの効果まで

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スタンディングデスク

 

イヴ
今回は長時間座る悪影響とスタンディングデスクの効果まで解説するよ!
ニコ
このテーマは研究が進んでいるため、系統的レビューやメタ分析が多めだ!

 

長時間座ると起きる5つの悪影響

長時間座り続けるのは、びっくりするぐらい悪影響があります。

座りがちな行動と病気との関連を調べたメタ分析(1)では、「糖尿病」「心血管疾患」「心血管死亡」「全死因死亡率」との関連が見られました。

 

各増加率

  • 糖尿病112%増加
  • 心血管疾患のリスクは147%増加
  • 心血管死亡のリスク90%増加
  • 全死因死亡のリスク49%増加

 

上記を見てわかるように、座り続けるとびっくりするぐらい悪影響があります。

 

イヴ
長く座るだけでこんなにマズイの・・・?
トニー
ニコ
これは座り続けない工夫が必要そうだな・・・!

 

特に座り続けることと死亡リスクの研究(2,3)まで行われています。

(2)の研究では、1日4時間未満の参加者と比較して、8~11時間座っている参加者は1.45倍高い死亡リスクを持ち、11時間以上座った参加者は1.65倍高い死亡リスクを持つとわかりました。

 

座り続ける悪影響の研究メモ

  • 肥満:4
  • 2型糖尿病:5,6
  • 心血管疾患:7,8
  • 大腸がん:9
  • 上皮性卵巣がん:10

 

座り続けることと様々な病気との関係も、色々な研究でわかっています。(上記を1つ1つ説明しようと書いていましたが、想像以上に長くなったので省きます)

仕事中はずっと座っているなら、対策を考える必要があります。

 

毎日運動をしても1日9時間以上座ったら相殺されない?

「Reducing prolonged sitting in the workplace」によると、推奨されるレベルの運動をしていても座る悪影響には意味がないみたいです。

つまり、習慣的に運動をしている人でも1日長く座り続けると、上記のような悪影響を受ける可能性があります。

また別の研究(11)でも、以下のように書かれています。

 

The negative health consequences of prolonged sitting are not mitigated by short bursts of regular, moderate to vigorous intensity exercise (Pronk et al. 2012). Recent research indicates that exercise outside of normal work hours, even exercise that meets the recommended daily physical activity levels, does not counteract the negative physiological consequences of sitting at work for up to nine hours per day (VicHealth 2012).

長時間座っていることによる健康への悪影響は、定期的な中程度から激しい運動強度の短期間のバーストによっては緩和されません。 最近の研究によると、通常の勤務時間外の運動、さらには推奨される毎日の身体活動レベルを満たす運動であっても、1日9時間まで職場に座っていることによる生理学的な悪影響は相殺されません。

 

上記のように悪影響が緩和されないと書かれています。

長時間座っている人は運動をするよりも、職場の環境をどうにかしなければならないわけです。

 

科学的に見るスタンディングデスクの効果まとめ

1.座る時間が大幅に減少する

スタンディングデスクを導入すれば、座る時間が大幅に減少するのは当たり前の話ですよね。

とはいえ、座り過ぎがあれほど悪影響を与えるので、座る時間がどのくらい減るのかという研究もあります。

 

この研究はオーストラリアの20~65歳のサラリーマンを対象に行った研究(12)で、スタンディングデスクグループ18人、比較グループ14人を1週間・3ヶ月の追跡調査しました。

すると、スタンディングデスクグループが職場で座っている時間を143分/日減少させました。

 

これは1習慣の追跡調査からわかったことで、これらの効果は3ヶ月後も維持しています。

またトレッドミルデスクの研究(13)では、36人の男女を対象に1年間使い続けてもらいました。

 

トレッドミルデスク

引用元:Treadmill desks: A 1‐year prospective trial

 

すると、6ヶ月後には91±66分/日減少して、1年後には43±67分/日減少するという結果でした。

どちらの研究でも、座り続ける時間が大幅に減少しています。

座る時間を減らすのには、有効な手段と言えそうです。

 

2.認知機能や生産性はそこまで影響なし

ある系統的レビュー(14)では、認知機能や生産性への影響を評価しました。

結果として、スタンディングデスクが認知機能や生産性に良い影響を与えるとは証明されていませんでした。

認知機能は以下の4つに分類されています。

 

注意スタンディングデスク:違いはごくわずか
サイクリング:わずかな改善
トレッドミル:座りと比較し自明の増加
記憶立ち:わずかな増加
トレッドミル:わずかな増加
サイクリング:わずかに低下
※どれも統計的な有意差なし
推論と反応時間立ち:わずかに減少
サイクリング:いずれも有意差なし
タイピング・校正立ち(校正):わずかに増加
サイクリング(入力時間):わずかに減少
サイクリング(入力エラー):大幅減少

 

認知能力をそれぞれまとめましたが、どれも些細な違いという結果でした。

細かく見ると、動いている方が記憶力をわずかに増加しています。(有意ではない)

 

またこの研究で特に重要な点は、座った状態がパフォーマンスを著しく低下させるようには見えない点です。

もちろん、長く座り続けると先ほど紹介したような悪影響が出る可能性はありますが、逆に立ったり動いたりでパフォーマンスが向上するわけではありません。

むしろ、タイピング速度やクリックの効率が低下する研究が出ているので、仕事によってはスタンディングデスクがマイナスに働く可能性も充分にありそうです。

 

3.動きながらの作業でパフォーマンスが低下した

ある系統的レビューやメタ分析(15,16)では、トレッドミルでパフォーマンスが低下したり、サイクリングで入力作業が低下したりしました。

 

イヴ
下半身を動かして、手先も動かすのはマルチタスクになっている・・・とか?

 

またスタンディングデスクや動きながら仕事ができる机で、認知機能テストを行った研究(17)でも、色々なテストでパフォーマンスの低下が見られました。

この研究では、以下の5つを比較しています。

 

比較対象

  • 座る
  • 立つ
  • トレッドミル
  • 椅子付きステッパー
  • エアロバイク

 

まず、「トレッドミル」「椅子付きステッパー」「エアロバイク」の使用で、マウスのタスクパフォーマンスが悪化しました。

 

アクティブワークステーション

引用元:Effects of a standing and three dynamic workstations on computer task performance and cognitive function tests

 

トレッドミルについてはタイピング速度も落ち、他2つは低下しませんでした。

著者は、この結果について「トレッドミルが他2つと比べて不安定だから」と説明しています。

 

しかも、この研究では読書課題や認知機能テストのパフォーマンスは改善も悪化もしませんでした。

他にも座った状態と立った状態で作業を比較しても、作業の有意差は出ていません。

強いていえば立った状態でマウスポインティングやクリックをすると、パフォーマンスが低下したくらいでした。

 

これらの結果から見ると、立った状態(歩きも含む)はマウスやタイピングの速度が低下するだけで、そこまで良くはなさそうですね。

著者によると、パフォーマンスが低下した原因はアクティブワークステーションに精通していないからとも言っています。

とはいえ、現状ではスタンディングデスクが生産性やパフォーマンスを向上させるという証拠はそこまでない感じです。

 

4.立ちと座りの比較でも認知機能や作業効率に違いなし

姿勢と認知能力を調査したRCT(18)では、立っているときと座っているときを比較しても認知機能に変化がないとわかりました。

この研究はタスマニア大学の36人の従業員(女性26人、男性10人)で行われました。

 

実験ではランダムに2つのグループに分けて、プレテストで座って作業をしてもらっています。

それから本番で、2週に分けてそれぞれ実験しました。

 

1週目(1~3日目)1週目(4日目)2週目(1~3日目)2週目(4日目)
グループ1座る座る立つ立つ
グループ2立つ立つ座る座る
内容通常業務認知評価通常業務認知評価

 

結果は座っている状態と立っている状態で、認知能力に有意差はでませんでした。

とはいえ、著者は他の研究結果から見て、以下のように述べています。

 

これらの調査結果は、個別作業タスクのパフォーマンスは、立っているときに変化しないのに対し、グループベースのタスクのパフォーマンスは、グループが座っているのではなく立っているときに向上することを示します。グループ環境では、立っていると対話やグループコラボレーションが促進され、職場の生産性が向上します。

 

スタンディングデスクが個別のタスクでパフォーマンスを上げるってことはなさそうですが、グループの場合は生産性の向上が期待できそうですね。

 

トニー
ニコ
会議室は椅子をなくした方が効率的かもしれないな!

 

スタンディングデスクの考察

ここまでの研究を見て、スタンディングデスクが特別な効果をもつことは少なそうでした。

とはいえ、長時間座るのはかなり悪影響があるので、その防止策としてスタンディングデスクはありかなと思っています。

スタンディングデスクの発展形としては、以下のものも考えられます。

 

スタンディングデスクの発展形

  • トレッドミルデスク
  • エアロバイクデスク
  • 椅子付きステッパー
  • スタンディングデスク+ステッパー

 

このあたりはまだ最適な形がわかっていないので、様子見といった感じです。

とはいえ、トレッドミルやステッパーはマウスポインティングとタイピング速度の低下が見られています。

 

この結果は「まだ慣れていない」「ワークステーションに精通していない」なども考えられているので、研究待ちですね。

どちらにせよスタンディングデスクは座り続ける悪影響防止が主で、認知機能やパフォーマンスは期待しない方が良いでしょう。

 

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