睡眠不足と集中力の研究では、睡眠不足が集中力を低下させ、価値判断も鈍らせると示されました。
睡眠不足で持続的注意タスクをするとどうなる?
この研究(1)は26人の大学生を対象として行われました。参加者は1週間の間隔をあけて2回の実験セッションに参加しています。
グループ分け
- 休息セッション:9時間の睡眠
- 睡眠不足セッション:睡眠なし
両方のセッションでは以下のタスクをしてもらいました。
診断内容
- やる気のある持続的注意タスク:速い10セント、中5セント、遅1セント
- 割引タスク:集中を維持した時間に合わせた報酬
- 瞳孔の測定
割引タスクでは「1分」「5分」「10分」「20分」「30分」でそれぞれ報酬を渡しています。結果は以下のような感じ。
結果
- 睡眠不足は全体的に反応速度を遅らせた
- 睡眠不足でも報酬の動機づけがパフォーマンス低下を部分的に軽減させた
- 持続的注意タスクは時間が経つにつれて低下していった
- 睡眠不足状態では急激に悪化した
- 睡眠不足だと集中力が必要な仕事で得られる大きな報酬に対して価値がないと判断した
これらの結果から、睡眠不足は集中力を低下させ、価値判断も鈍らせるとわかりました。特に面白かったのは、報酬の効果は睡眠不足の方が顕著に出た点です。つまり、睡眠不足後の集中力低下は集中する能力の減少だけではなく、モチベーションの減少との複合的な結果であることを示しています。
ざっくり言えば、睡眠不足のときはご褒美を用意すれば、部分的にパフォーマンス低下を軽減できるわけですね。また今回の研究では、睡眠不足の影響で努力による利益を評価しなくなるとわかりました。著者も以下のように述べています。
著者らの現在のデータは睡眠不足下では努力が必要な注意能力の主観的価値が低下し、報酬が十分に高くない場合には被験者の能力から処理リソースを引き出せないことを示唆している。
睡眠不足のときに集中しようとご褒美を設定しても、十分に高くなければパフォーマンス低下の軽減もほとんどないということです。睡眠不足で集中できないときは主にモチベーションの低下が関係しているので、ヒントになりそうですね。
それではぜひ参考に。