座り過ぎが健康に悪影響というのは有名な話です。今回紹介する調査結果はさらに深刻な悪影響を報告しています。
座りすぎが健康を著しく損なう
座りすぎと健康はかなり研究が進められています。中でも系統的レビューをさらに評価した研究(1)が発表されています。この研究は2013年9月までに発表された系統的レビューを評価しています。論文を精査した結果、27件の論文が対象になりました。結果はそれぞれ解説していきます。
1.死亡リスク
座り過ぎと死亡率は7つの系統的レビューで調査されています。結果をまとめると、こんな感じ。
結果
- 2時間の座位時間ごとに心血管死亡率が5%増加
- 1日2時間以上テレビを見ると、全死因死亡率が13%増加と関連
- 座る時間とがんによる死亡率が関連
このように座りすぎと死亡率には関連が見られています。しかも、この数値は身体活動やBMIなどに関係なく見られているので、運動をして一見健康でも危ないです。
2.心血管疾患
座り過ぎと心血管疾患は5つの系統的レビューで調査されています。結果は以下のような感じ。
結果
- 座り過ぎと心血管疾患は一貫して関連が見られた
- 身体活動とは無関係にスクリーニング時間と心血管疾患が関連
- 最も長く座っている群は心血管疾患リスクを90%増加
スクリーニング時間とは、パソコンやテレビを見ている時間のことです。しかも、運動の有無とは無関係に心血管疾患と関連が見られています。
3.がん
がんは5つの系統的レビューで調査されています。座りがちな行動と関連が見られているのは以下のがんです。
結果
- 結腸直腸がん
- 乳がん
- 子宮内膜がん
- 卵巣がん
- 前立腺がん
逆に関連性がないのは腎臓がんや肺がん、精巣がんでした。とはいえ、身体活動などが考慮されていないということで、まだわからない部分もあります。
4.2型糖尿病
2型糖尿病は身体活動レベルにかかわらず、有意な関連が見られています。
結果
- 1日2時間以上テレビを見ると、2型糖尿病のリスクが20%増加
- 最も座る時間が長い群は糖尿病リスクが112%増加
2型糖尿病は5つの系統的レビューが評価されていますが、総じて有意な関連が見られました。
5.肥満
座り過ぎと肥満は14件の系統的レビューで調査されています。結果は以下のような感じ。
結果
- テレビ視聴と肥満は中程度の関連が見られた
- 座りすぎと総コレステロール・血圧は関連が見られた
とはいえ、座り過ぎと肥満に関しては不健康な食事や低い運動レベルを通じてる可能性があるとのことです。
6.精神疾患
小児と青年では座りすぎがうつ病のリスク増加と関連が見られています。しかし、精神疾患に関しては系統的レビューがほとんどありません。ちなみに日本成人を対象とした別の研究(2)では、推奨されるレベルの運動をしていれば、座る時間に関係なく、抗うつ症状のリスクが低いとわかっています。
まとめ
座り過ぎは単純に腰を痛めるだけではなく、想像以上に重度な疾患と関連しています。定期的な運動と仕事で使うデスクは工夫が必要です。
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【大規模研究】座りすぎの悪影響を運動で相殺するにはどのくらいするべきか?
運動やデスクに関しては上記の記事を参考にしてみてください。