今回は軽度の睡眠不足でワーキングメモリに影響はあるものの、集中力は減少しないという研究を紹介します。
軽度な睡眠不足で集中力が減少しなかった研究
過去の記事でも6時間睡眠を2週間続けると、徹夜相当の認知機能になると解説しました。
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知らなきゃ損!6時間睡眠が徹夜相当の認知機能低下を引き起こす
しかし2019年に出た研究(1)では、軽度な睡眠不足では集中力が低下しませんでした。この研究は93人の男女を対象として、ランダム化比較試験をした実験です。
グループ分け
- 睡眠時間を1時間減らす:30分遅く寝て30分早く起床
- いつも通り
参加者は全員6泊して、最後の日に以下のタスクをしてもらいました。
診断内容
- 意思決定やリスクテイクの測定
- 空間ワーキングメモリの測定
- 集中力や反応時間の測定
すべての測定を終えて実験は終了しました。結果は以下のような感じ。
結果
- 睡眠不足群は空間ワーキングメモリで悪影響が確認された
- 集中力は関連なし
- 意思決定やリスクテイクも関連なし
これらの結果から、1時間の睡眠不足で空間ワーキングメモリに悪影響が出るとわかりました。この結果は先ほど紹介した記事の研究と同じ結果ですね。
一方で、睡眠不足が続いても、集中力や意思決定などには悪影響が出ませんでした。今回はランダム化比較試験なので良さそうですが、1時間以上の睡眠不足が続いた場合はわかりません。ちなみに今回の実験で主観的な眠気がパフォーマンスを落とすわけではないとわかりました。
ワーキングメモリータスクのパフォーマンスに対する睡眠不足の悪影響は、報告された主観的な眠気に起因するものではありません。さらに、プラセボ群の参加者における主観的な眠気の変化は、認知課題の遂行と関連していなかった。これは、主観的な眠気がパフォーマンスを損なわないことを示唆している。
逆に言えば、睡眠不足だけど眠気を感じないという時はパフォーマンスが落ちている可能性は十分にあるということです。この辺りは注意したいですね。
ちなみに睡眠時間が1時間減っても集中力に問題はありませんでしたが、主観的な睡眠の質が悪い人ほど集中力が低いという研究(2)はあります。集中力に関しては時間よりも質の方が関係しているかもしれませんね。
それではぜひ参考に。
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