今回は瞑想による集中力の改善がいつまで続くかを解説します。
瞑想トレーニング後の集中力向上はいつまで維持できる?
この研究(1)は60人の瞑想実践者を対象として行われました。2011年にカリフォルニア大学で行われた研究を追跡調査した形です。参加者は以下の2つに分かれています。
グループ分け
- 瞑想トレーニング群:30人
- 待機(対照)群:30人
参加者は平均年齢48歳で、主に中年の男女でした。また指導したのはサマタ瞑想という瞑想法です。1日2回グループ練習と討論で会い、残りの6時間をサマタ瞑想をするという流れでした。中々本気度の高いトレーニングですね。
そして、持続的反応阻害タスク(RIT)を32分間やってもらって、集中力のパフォーマンスを測定しました。追跡調査では以下の期間にわたって行われています。
追跡調査の期間
- 6ヶ月
- 1.5年
- 7年
追跡調査では瞑想の練習をどのくらいしていたかなども質問しています。結果は以下のような感じ。
結果
- トレーニング後に改善された注意力の向上は4年にわたって部分的に維持された
- パフォーマンスは全体的に改善し、年齢による集中力の低下も大幅に抑えられた
- 7年間多くの瞑想をしていた人ほど、認知の向上が維持され、年齢による集中力の低下が減少していた
結果は瞑想のトレーニングが年齢にともなうパフォーマンス低下を緩和していました。改善自体は実験終了後の数年間で、トレーニングゲインの半分以上維持されています。
当然、練習をしていた人ほど維持されたわけですが、練習時間が少ない人でも利益があったのはすごい。ただし瞑想は続ければ続けるほど集中力が良くなるものでもなくて、基本的に横ばいで維持されました。この辺りは個人差もあって、一部の人は時間とともに改善されているので一概には言えない感じです。
メモ
ちなみに具体的な練習量は一週間の瞑想時間を見積もって、追跡調査期間全体の推定値を合計しています。練習時間少:1250時間、中:2000時間、多:2750時間です。
追跡調査は7年間なので、それぞれ以下のような感じ。
年間 | 1日 | |
---|---|---|
練習時間少 | 178時間 | 29.2分 |
練習時間中 | 285時間 | 46.8分 |
練習時間多 | 392時間 | 64.4分 |
おおよその数字とは言っても、1日30分やっている人が練習時間少ない扱いなのはビックリ。とはいえ、年齢45歳で練習量少の人はそこまでガクンと落ちているわけではないので、1日30分以上を目安にしようかなと思っております。
著者は以下のようにも述べています。
本研究は集中的で継続的な瞑想が持続的注意の持続的改善と関連することを示唆し、専門的なメンタルトレーニングの認知的利益が長期にわたって持続する可能性があるという考えを支持する。参加者は一般的に何年も毎日の瞑想実践で改善したわけではないが、継続的な瞑想は集中的な正式トレーニング期間中に得られた利益を維持し、年齢に関連した認知力の低下の軌跡を変えることによって実践者に利益をもたらすようである。
集中力を維持し続けるなら、瞑想も継続していくべきですね。
それではぜひ参考に。
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