ランダム化比較試験ではルテインとゼアキサンチンが記憶力や注意力を有意に改善したと発表されています。
ルテインとゼアキサンチンとは?
ルテインとゼアキサンチンはどちらも緑黄色野菜に多く含まれる天然色素のことです。高い抗酸化作用を持ち、主に眼の調子を整えるサプリとして売られています。ルテインとゼアキサンチンは体の中で合成できないので、食べ物やサプリから摂るしかありません。
認知機能を向上したルテイン・ゼアキサンチンサプリの研究
ルテインとゼアキサンチンのサプリで、認知機能を向上させた研究が発表されています。研究は主に若者を対象にしたものと高齢者を対象にしたものがあるので、それぞれ紹介します。
1.若者を対象にした研究
この研究は51人の大学生を対象にしたランダム化比較試験(1)です。参加者には以下の2つに分けています。
グループ分け
- サプリ群:37人
- プラセボ群:14人
サプリはルテイン10mgとゼアキサンチン2mgを1日1錠摂ってもらいました。期間は1年間だったので脱落した人も多く、群間の人数差があるのもこの影響です。結果は以下のような感じ。
結果
- 1年の投与で血清ルテイン・ゼアキサンチンレベルが有意に高い
- サプリ群は記憶課題で有意に高い成績だった
- 複雑な注意や推論能力も有意に高い得点だった
簡単に言うと、ルテインとゼアキサンチンの増加は脳機能のパフォーマンスを改善する可能性があるとわかります。ただし注意すべきは黄斑色素の増加が達成された場合のみ、注意力と推論能力が向上しました。
メモ
黄斑色素とは、ルテインやゼアキサンチンで構成された色素のことです。ブルーライトを吸収する働きがあって、強い抗酸化作用があります。
ルテインとゼアキサンチンの血清レベルを見ると、大体4ヶ月で最大レベルに達しているので習慣的に摂取する必要があるかもしれません。
2.高齢者を対象にした研究
高齢者を対象にした研究(2)では51人を対象として、ルテインとゼアキサンチンを摂ってもらいました。サプリの成分量や実験期間は先ほどと同じです。さっそく結果を見てみます。
結果
- 推論能力が向上
- 言語記憶が向上
- 視覚記憶・認知の柔軟性が向上
- 複雑な注意力のパフォーマンスが大幅に向上
大体若者と同じ結果でした。ルテインとゼアキサンチンの摂取は集中力や記憶力のパフォーマンスを向上させます。ただ慶應義塾大学の研究(3※PDF)によると、食事から摂取されたルテインの量は平均1.52mgとかなり低い量でした。もしきちんと摂るなら、サプリを飲むのが無難かもしれません。