最近発表された研究では、他人の電話が集中力や問題解決能力を著しく低下させると報告されました。
他人の電話が聞こえて集中力を劇的に損なった研究
この研究(1)は携帯電話の会話による集中力の低下を調査した研究です。
実験では76人のスウェーデン大学生を対象として、音声を聞きながら作業をしてもらいました。音声はランダムで2つに分けました。
グループ分け
- 意味のわかる音声:38人
- 無意味な音声:38人
無意味な音声は理解できないようになっています。そして、スピーチを聞くためにヘッドホンが用意されました。背景音の条件も3つ用意されていて、参加者全員すべて行っています。
グループ分け
- 静かな音
- 電話会話の片側だけ聞こえる
- 両方の会話が聞こえる
で、実験の手順がこんな感じ。
実験の流れ
- 参加者にはPCモニター前に座ってもらう
- BGMを無視してタスクを完了するよう指示
- 3つの方法がすべて完了したら終了
結果はこんな感じ。
で、わかったことが以下の2つです。
結果
- 意味のわかる音声のみパフォーマンスが低下した
- 問題解決能力は電話会話の片側が聞こえた群のみ著しく低かった
つまり、ただ音が聞こえたからパフォーマンスが下がるわけではなくて、意味のわかる情報が脳で処理されるから注意散漫になるというわけです。片側の会話だけでは内容をすべて把握できないため、それで脳の処理能力がもっていかれているんですね。
しかも、ハーフログは職場で珍しくないから、ツライところ。この論文では、その軽減方法まで実験されています。
ハーフログ効果の軽減方法
論文ではハーフログ効果を緩和する方法として2つ挙げています。
TIPS
- 気を散らす背景音声の意味処理を軽減する:サウンドマスキングやヘッドホン・イヤホンで音楽を聞く
- タスクエンゲージメントの向上:電話禁止エリアの指定や読みづらいフォントへの変更など
個人的に使えそうなのは音楽を聞くだけなのがツライですね。サウンドマスキングや電話禁止エリアなどは会社が対応しなければいけません。
メモ
サウンドマスキングとは、会話漏れや騒音が聞こえにくくする空調音に似た音のことです。これがオフィスにあれば、他人の電話会話はほとんど気にならなくなります。
読みづらいフォントも集中力は問題なくても、業務に支障が出ないとも限りません。とはいえ、電話会話で集中力が途切れた経験がある人はぜひ参考に。BGMに関しては歌詞がないものを選ぶようにしてください。