研究では勉強の休憩中に自然の音楽を聞くとストレスからの回復が速いと発表されています。
自然音でストレス回復が37%早かった
2010年に40人の大学生を対象にした研究(1)が行われました。この実験は2分間暗算テスト(ストレスタスク)をやってもらい、4分間の休憩を繰り返し行うというものです。
4つの休憩時にはそれぞれ異なる音楽を流しています。
音楽の種類
- 自然音:噴水の音と鳥のさえずり
- 高ノイズ:道路交通騒音
- 低ノイズ:道路交通騒音を低い音圧に設定
- 騒音:建物の騒音によって起こる騒音
測定は皮膚コンダクタンスレベルで行われました。皮膚コンダクタンスとは、皮膚の電気伝導度を測定する方法のことです。人の汗腺は交感神経によって変化するので、それを読み取ります。
結果は以下のような感じ。
結果
- 自然音が最もストレスから早く回復した
- 雑音と比較して9-37%回復が早い
これらの結果から客観的に見て、自然音はストレスからの回復が早いと言えます。論文では副交感神経を活性化というより、交感神経を迅速に回復させているとしています。
自然音が総じて集中力を高めた
2017年に発表された研究(2)では17人のボランティアを対象として注意監視タスクを行ってもらいました。この実験は対象者を以下の3つに分けています。
グループ分け
- 自然音
- 人工音
- 音なし(対照)
これらを5分25秒聞いてもらった後で、注意監視タスクをしてもらいました。注意監視タスクとは、白い円を監視し続けて、色が変化したらボタンを押すというテストです。参加者の評価は主観的なものと客観的なものを使っています。
評価
- 音楽の心地よさ
- 気晴らしのレベル
- 反すうのレベル
- 集中の度合い
- 心拍数
- fMRI
それぞれ評価して、集中力やメンタル面を計測しました。で、結果はこんな感じ。
結果
- タスクの反応時間は自然音よりも人工音で有意に増加
- 自然の音は人工音と比較して、副交感神経活動が増加した
- ベースのリラックス度が高い人は副交感神経が低下した
これらの結果から、自然音が副交感神経を活発化させるとわかりました。ただし、リラックス度が高い人は逆に副交感神経が低下したのは面白い結果ですね。
また自然音で反応時間が低下したのは注意力の低下を示しています。この辺りは論文でも、ART(注意回復理論)を部分的に支持していると書かれていました。
それではぜひ参考に。