Nバック課題のメタ分析によると、Nバック課題は認知機能にごく僅かな効果しかないと発表しています。
Nバック課題をメタ分析した研究
ワーキングメモリトレーニングの初期研究は脳のパフォーマンスを高めるのに有望でした。しかし、最近発表されているメタ分析は「思ったよりも効果ないよね」という研究も多いです。
そんな中、nバック課題に特化したメタ分析が発表(1)されています。メタ分析は33件の論文を対象として行われました。これらの論文は合計41件の実験と2105人の参加者で構成されています。
この感じなら、中々信頼できるのではないでしょうか。結果は以下のような感じです。
結果
- nバック課題の作業自体には中程度の効果があった:近い転移
- ワーキングメモリや認知機能、流動性知能には非常に小さな効果しかなかった
- トレーニング効果はnバックが最大
- シングルnバックでもデュアルnバックでも有意差はなかった
- nバック課題に年齢は関係なし
これらのことから、nバック課題はワーキングメモリや認知機能に本当に小さな効果しかないことがわかりました。とはいえ、ワーキングメモリトレーニングをしていない人がnバック課題をやると、小さい効果があります。効果量が0.24なので、やる意味があるかは微妙ですが。
これらの結果について著者は以下のように述べています。
我々はn-backトレーニングがトレーニング課題の訓練されていない変種にのみ実質的な移行をもたらすと結論付けることができた。他のタスクへの伝達効果(ワーキングメモリ、流動性知能、または認知制御を測定するかどうかにかかわらず)は小さく、明らかに実用的な意味はほとんどない。
ということで、nバック課題はワーキングメモリを鍛えたいという意図でやっても、ほとんど意味がないようです。結局のところNバック課題をしても、Nバック課題が上手くなるだけでワーキングメモリが向上は限りなく小さいといえます。
ちなみにワーキングメモリトレーニング全体のメタ分析でも否定的な結果が出ています。
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ワーキングメモリのトレーニングはほとんど効果がないと判明した
それではぜひ参考に。