睡眠不足と怒りの研究では、睡眠不足の人はどんな挑発材料でも怒りを増幅させるという調査結果が発表されました。
睡眠不足と怒りの研究
この研究(1)は142人の健康な成人を対象として2日間行われました。参加者はランダムで以下の2つに分かれています。
グループ分け
- 睡眠制限群(67人):平均4時間半
- 対照群(75人):平均7時間
そして、参加者全員にはアクティグラフィーを着用してもらいました。
メモ
アクティグラフィーとは、時計型の加速度センサーで活動数を自動記録するデバイスです。主に睡眠日誌としても利用されています。
参加者には苛立たせるために、嫌悪感のあるノイズを2種類流しています。
嫌悪感のあるノイズ
- ブラウンノイズ(約80デシベル):強い挑発
- ホワイトノイズ:弱い挑発
個人の苛立ちは80~90デシベルで最大になるので、ブラウンノイズは挑発材料にもってこいなんですね。睡眠以外にも以下のような測定も行われています。
結果は以下のような感じ。
結果
- 睡眠制限群は怒りの増加傾向を示した
- 睡眠制限群はどちらのノイズを聞いても怒りを増幅させた
- 睡眠は直接的な影響を持ちつつ、主観的眠気を仲介してさらに怒りを強化していた
これらの結果から、中程度の量でも睡眠制限を受けた人は怒りを増幅させました。しかも、通常であれば苛立っても慣れてくる傾向がありますが、睡眠不足の場合は苛立つ原因があればあるほど怒りが増幅していきます。
特に今回は眠気が怒りに及ぼした影響の大部分を占めていて、明らかなパラドックスが示されました。この研究は挑発材料の強弱に関わらず、怒りが増幅するので注意したいところですね。
この結果について著者は以下のように述べています。
睡眠不足はイライラする状況下で人を不安にさせるだけでなく、不安を増幅させ、やる気をなくさせる。この結果は睡眠制限後に経験する大きな怒りに直接影響する。2日間にわたって毎晩約2時間の睡眠を失うことは、嫌悪状態にあるときの怒りに比較的大きな違いをもたらすのに十分であった。加えて、怒りに対する睡眠の影響は挑発の強さによって違いが認められなかった。
睡眠不足で眠気を感じる時は人とのコミュニケーションに気をつけなければいけないですね。
それではぜひ参考に。