睡眠制限療法とは?睡眠時間を減らして質を高める認知行動療法の話

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今回は睡眠制限療法について解説します。

 

睡眠制限療法とは?

睡眠制限療法とは、睡眠時間を減らすことで質を高める認知行動療法の1つです。実際は睡眠時間を減らすというよりもベッドにいる時間を減らすテクニックです。

 

睡眠制限療法のやり方

最初に発表された睡眠制限療法の研究(1)を参考にやり方を解説していきます。

 

1.睡眠時間を記録する

まずは正しい睡眠時間を測定します。ここで言っている睡眠時間は「ベッドにいる時間」と「眠ってからの時間」の2種類です。測定するときは睡眠トラッキングアプリを利用するのがオススメです。

 

2.睡眠時間の計算を行う

例えば夜11時にベッドに入って、朝7時に起きて、実際に寝ているのが7時間だとします。この場合は起床時間は7時で固定して、就寝時間を12時にしてください。かなりツライように聞こえるかもしれませんが、ベッドで起きている時間が著しく減少します。

 

3.2週間は実践する

睡眠時間の変更は2週間ごとが目安です。変更するときも起床時間は固定して、就寝時間で調節します。

 

4.睡眠時間の調節

睡眠効率を計算して、睡眠時間の調節を行います。

 

睡眠効率の計算

(睡眠時間/ベッドにいる時間)×100(%)

例:(7時間/7時間30分)×100=93.3(%)

 

ここで出した睡眠効率から睡眠時間を変更するか決めます。

 

睡眠時間の変更

  1. 睡眠効率90%以上:就寝時間を15分早くする
  2. 睡眠効率85%~90%以上:変化なし
  3. 睡眠効率85%以下:就寝時間を遅らせる

 

この目安はあくまで最初の研究で使われたものなので、他の研究では簡易的なものや数値が微妙に違うものもあります。

 

睡眠制限療法の科学的根拠

睡眠制限療法の研究は嬉しいことに意外と多くあります。今回はその中でも質が高いと思ったランダム化比較試験を紹介します。

この研究(2)は97人の不眠症患者を対象として行われました。参加者は全員、睡眠衛生指導を受けています。

 

メモ

睡眠衛生指導とは、運動やカフェインなどの健康習慣、光や騒音の環境要因を指導する認知行動療法の1つです。ざっくりいえば、睡眠に関する情報を説明したわけですね。

 

そして、参加者は以下の2つにランダムで分かれてもらいました。

 

グループ分け

  1. 睡眠制限群(46人)
  2. 対照群(51人)

 

この研究で行われた睡眠制限療法は比較的簡易化された方法でした。

 

睡眠制限療法の方法

  1. 最初:睡眠制限はベッドで起きている時間の半分に設定
  2. 2週間後:睡眠効率が85%以下の場合、ベッドで起きている時間は30分に減少させた
  3. その2週間後:睡眠時間を自己調節するよう指示した

 

睡眠制限の目安は睡眠効率が85%以下の場合にベッドで起きている時間を30分にするというものでした。つまり、ベッドで起きている時間を強制的に制限したわけですね。

一方の対照群は2週間後も睡眠衛生指導を受けました。

測定内容は以下のような感じ。

 

測定内容

  1. PSQI(睡眠品質指数)
  2. 不眠症重症度指数
  3. 睡眠効率
  4. アクティグラフィー(時計型の睡眠測定デバイス)
  5. 全般性不安障害質問票

 

主観的なものから客観的な数値までガッツリ測定しています。そして、3ヶ月後と6ヶ月後にも追跡調査をして実験は終了です。

結果は以下のような感じ。

 

結果

  • 睡眠制限療法は6ヶ月後も睡眠の質を有意に改善した
  • 睡眠効率・眠りにつくまでの時間・疲労感を改善した
  • 心拍数を有意に改善した
  • 有害事象はなし

 

これらの結果から、睡眠制限療法は睡眠衛生指導単体と比較して、睡眠の質や疲労の改善に効果的でした。特に主観的な睡眠の質は統計的有意で、臨床的に有意な改善といえます。

特にこの研究では指示は2回しか行われていないのが現実的で素晴らしいです。著者は今回の結果について以下のように述べています。

 

すべての測定値が有意に改善されたわけではないが、Aikens and Rouseは、たとえ治療によって睡眠が完全に正常化していなくても、機能的転帰の改善によって患者が満足しうることを示唆した。この観点から見ると、今回の結果は全体的な睡眠の質の改善や不眠症の重症度軽減、日中の疲労軽減など重要ないくつかの尺度において、睡眠制限療法が管理より優れていることが実証された。

 

今回の結果では主観的な指標が有意に改善されているので、睡眠への満足感は他の方法に比べて高いかもしれないわけです。睡眠制限療法は一度覚えてしまえば、病院へ行かなくても実践できますし、一度試すのが吉です。

それではぜひ参考に。

 

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