今回は睡眠不足になると高カロリーな物を食べたくなる理由について解説します。
睡眠不足になると神経物質やホルモンの応答能が増大
睡眠不足と肥満はずっと前から関連が見られていました。睡眠不足が食料の購買量を増加(1)させたり、脳の食欲を評価する部位の活動が鈍く(2)なったり。
肥満と睡眠不足で関連はわかっているものの、そのメカニズムはまだ論争が続いています。そんな中最近出た新しい研究(3)では、神経画像の研究から進められました。この研究は32人の健康な男性を対象として行われました。実験では血液サンプルやfMRIを受けてもらい、以下の2つに分けています。
グループ分け
- いつも通りの睡眠(HS)
- 一晩中起きる(SD)
ちなみに参加者はどちらも一晩中断食してもらい、翌朝に再び血液サンプルの摂取とfMRIをしています。その後で、食品報酬や食品以外の報酬に対する支払い意欲を評価するオークションを実施しました。用意されている報酬は48種類のスナック食品と48種類のアクセサリーです。で、結果は以下のような感じ。
結果
- 睡眠不足の後で食品報酬への支払いが増加
- 腹内側前頭前野における睡眠状態・報酬カテゴリーの主観的価値に影響
- 両側扁桃体における刺激開始関連活性は睡眠不足の後で増強
- 睡眠不足がデスアシルグレリンの増加を誘発
専門用語が多くわかりづらいですが、一晩の睡眠不足がスナック食品報酬の価値を増大させるとわかりました。
今回の結果は睡眠不足になると、扁桃体や視床下部が食欲の神経物質やホルモンへの応答能を増大させていました。ここからわかるのは睡眠不足が脳を通じて、食欲を促進するということです。しかも、脳の判断をする部位に影響が出ているので、食べ過ぎはもちろん、体重増加や肥満リスクが高まる可能性があります。睡眠不足のときに食欲を抑えるというのは中々難易度が高いみたいですね。
著者らによれば、睡眠不足後の食欲の増加はホルモンではなく、快楽によるものとしています。睡眠不足になると、一時の欲が抑えられなくなるってことなんでしょうね。
睡眠不足の悪影響が知りたかった人はぜひ参考に。