今回は認知行動療法の補完として使える逆説的意図について解説します。
逆説的意図とは?
逆説的意図とは、眠る努力を”しない”ための認知療法です。1999年にはアメリカ心理学会で不眠症の人に対して推奨されていました。
逆説的意図療法のやり方
逆説的意図のやり方は以下のような感じです。
逆説的意図のやり方
- 起きているようにしてください
- 明かりを消してベッドの中で横になりますが、目は開けたままにしてください
- 眠りにつくためにあらゆる努力をやめましょう
- まだ起きていることへの懸念をあきらめてください
- 眠くなったときは、「もう2、3分起きて、準備ができたら自然に眠ります」と静かにつぶやいてください
- 意図的に目を覚まそうとはしないでください。もし眠る努力をしなければ、眠りが自然に来るのを見つけられます。
ここで大切なのは眠る努力を完全に諦めてしまうことです。起きているようにしてくださいという指示を間違って解釈して、コーヒーや運動をして目を覚ますということはないようにしてください。
またこの方法はどちらかといえば、受け身の方法です。眠るようにするというよりも、眠れない不安に対しての対処法と言えます。
ほとんどの人は眠るためのテクニックを試して、眠れないときに不安を感じるかと思います。この不安の高まりは交感神経を刺激して、睡眠開始を阻害してしまうわけです。逆説的意図の研究(1)でも、認知行動療法を試して改善されなかった人に逆説的意図の指示をすると、眠りにつくまでの時間が著しく減少したという結果が出ています。
逆説的意図の科学的根拠
逆説的意図の研究は全体的にやや古めですが、最近発表されたものから古い研究まで紹介していきます。
研究メモ
全体的に見て効果はあるものの、一般的な認知行動療法よりは劣るという感じです。不眠の認知行動療法(6)には逆説的意図が含まれていないところを見ると、優先順位は低めかなと。
実践的には薬や認知行動療法を試して効果がないときに試してみるのがいいかもしれませんね。
それではぜひ参考に。
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