睡眠や不眠症に音楽が効果的という研究は多く発表されています。今回は不眠症や健康な人にどれだけ効果があるかを紹介します。
音楽療法と睡眠の研究
音楽と睡眠の研究は色々行われています。ただし、質の高い研究は不眠症の人を対象にしていたり、特殊な環境(集中治療室とか)だったりするので注意が必要です。とはいえ、睡眠障害における音楽療法の効果をメタ分析した研究(1)では、中々いい結果が出ています。
この研究は557人の参加者を含んだ10のランダム化比較試験を元にメタ分析されています。睡眠の質の計測は主に主観的な評価と睡眠ポリグラフのデータです。結果は以下のような感じ。
結果
- 就寝前の音楽は急性・慢性の睡眠障害持ちの人の睡眠を著しく改善
- ただし音楽の効果は一晩だけでは十分ではない
このメタ分析で使われた研究の多くは、ゆったりとしたリズム(1分あたり60-80拍)のクラシックが多かったです。注意点としては計測が主観的なのと睡眠障害持ちなので、健常者にどこまで適応できるかはわかりません。
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これは実践的!健康な人の昼寝を激しく改善する音楽が見つかった
健康な成人に対して音楽はどうか?
気になるのは健康な成人に対してですが、研究は少なめでした。一応、健康な成人を対象に行われたRCT(2)が発表されています。
この研究では睡眠の質が悪くない24人の大学生を対象として行われました。参加者は全員、就寝時に音楽を聞く習慣がありません。使われた音楽は1分あたり60拍のピアノ音楽で、こちらもゆったりとしたリラックス系の音楽です。実験は3日間で各参加者「慣らしの1泊」をしてから以下の2つに分けています。
グループ分け
- 音楽ありで1泊
- 音楽なしで1泊
音楽を流す時は、就寝から1時間流しました。結果は以下のような感じ。
結果
- 音楽群はステージ2(浅い睡眠)が減少
- 音楽群はステージ3,4の時間を増加
これらの結果から、健常者でも音楽で睡眠の深さを改善できるとわかります。具体的なメカニズムはまだわかっていませんが、試してみる価値はありそうです。
使われた音楽は主にゆったりとした音楽でしたが、他にもホワイトノイズやピンクノイズ、自然音なんかも結果を出しています。ぜひ参考にしてみてください。