メラトニンとは、眠気を誘うホルモンのことです。日本では第一類医薬品ですが、海外では市販のサプリとして販売されています。そんなメラトニンを徹底的にレビューした研究が発表されました。
2018年に発表されたメラトニンの包括的レビュー
2018年に発表されたメラトニンの包括的レビュー(1)では、メラトニンの効果から安全性まで幅広くまとめられています。この研究は1996年から2017年までの論文が対象となりました。
論文を精査した結果195件の研究が残り、メタ分析をしています。メラトニンは研究数が非常に多いですが、今まで見た論文の中でもトップクラスに信頼性が高いです。
メラトニンの主な効果
メラトニンの主な効果は以下の通りです。
結果
- 乳がんのリスク
- 手術後の動揺防止
- 手術前,後の不安
- 手術後の痛み
- 入眠までの時間
- 睡眠の質
※ランダム効果モデルPが0.05未満
睡眠以外にも、メンタル面への影響が確認されています。意外だったのは、メラトニンとがんのメタ分析が行われていた点です。しかも結果が意外に良くて、びっくりしました。
逆に効果が小さかったりなかったりしたのは、以下のようなものでした。
結果(効果がない~小さい)
- 睡眠薬などの禁断症状:メラトニン以外の睡眠薬
- せん妄の発生率:意識障害の一種で、暴れたり幻覚が見えたりする
- 気分障害
- 認知機能
- うつ病スコア
- 妊娠率
意外にも睡眠薬の禁断症状には、ほとんど効果がなかったようです。後はおおむねメラトニンへの期待とは離れた要素ですかね。
メラトニンの副作用
この研究では安全性についても書かれています。メラトニンの悪影響が報告されたレビューは11件(全体の5.6%)でした。悪影響は典型的に軽度で、一過性の頭痛やめまいなどが挙げられています。個人的にもメラトニンを毎日飲んでいますが、副作用は感じたことがありません。著者も以下のように述べています。
メラトニン治療の圧倒的な利点とごくわずかで軽度の副作用(長期使用の場合)を考えると、リスクと利益の比率はメラトニンに有利です。
個人的に気になったのは「飲み続けたら、自力で分泌する力は無くならないか?」でしたが、2mgのメラトニンを1年間摂取し続けて、副作用や禁断症状、メラトニンの産生に問題なしという結果が出ていました。(2)
メラトニンは大きな副作用も確認されていませんし、今のところは安全に使えると言っていいでしょう。個人的にもメラトニンサプリを使っていて、スッキリ眠れているので試してみる価値はあります。