地中海料理は健康やメンタルに良いことで知られています。そんな中、イタリアで行われたコホート研究では地中海料理に沿った食事をしている人ほど、睡眠の質が良いと発表されました。
地中海式料理と睡眠の研究
まず地中海料理を知るなら、ギリシャの食事ガイドラインを参考にしてください。
引用元:Food-based dietary guidelines - Greece
ギリシャの食事ガイドライン
- 毎月:赤い肉
- 毎週:魚、鶏肉、オリーブ、ナッツ、ポテト、卵、スイーツ
- 毎日:全粒穀物(玄米,オートミール)、オリーブオイル、果物、野菜、乳製品
地中海料理ベースのガイドラインは食べる頻度ごとに3つに分類されたピラミッドです。直感的でわかりやすいので、取り入れやすいです。
この研究(1)はイタリアのカターニアにいる開業医の記録を元に行われたコホート研究です。2014年から2015年の間で、ランダムに1936人が対象となりました。
評価する内容は以下のような感じ。
診断内容
- 人口統計データ(性別とか年齢)
- 生活様式(運動とか喫煙、飲酒)
- 教育レベル・職業レベル
- BMI
- 食事のデータ
- 地中海食事遵守の評価
- 睡眠の質(PSQI)
地中海食事遵守というのは9つに食品をカテゴリ分けして、0-18点(最高の遵守)までスコアリングするというやり方です。それぞれデータを収集・分析して、実験は終了です。結果は以下のような感じ。
結果
- 地中海式料理の遵守が高い人は適切な睡眠の質が最も高い可能性と関連
- 眠りにつくまでの時間は独立して高い遵守と関連していた
- 地中海食事遵守スコアが1ポイント増加すると、高い睡眠の質をもつ可能性が10%高くなった
- オリーブオイルは独立して良い睡眠の質と関連していた
これらの結果から、地中海式料理と全体的な睡眠の質が関連していることがわかりました。地中海式料理は健康に良いと聞きますが、論文でも適切な栄養プロフィールを保証するかもと書かれています。
ただ因果関係の方向はまだ明確な答えがわかりません。良い食事習慣が良い睡眠パターンにつながるかもしれませんし、その逆かは議論の余地があります。
とはいえ、著者は潜在的なメカニズムとして以下のように述べています。
心臓や肝臓、脳などの抗酸化防御反応障害が睡眠遮断中に報告されている一方で、神経炎症の増加が睡眠の質低下に寄与するとも仮定されている。さらなる証拠は睡眠時間や睡眠の質がC反応性タンパク質やγグルタミルトランスフェラーゼ(ガット)、カロテノイド、尿酸、ビタミンC、Dによって媒介されうることも示している。
つまり、仮説の段階では食事パターンから睡眠の質をサポートする可能性も十分あるわけですね。地中海料理の良さは睡眠だけではなく、肥満や認知機能の研究でも報告されています。
取り入れてみる価値がありそうです。