今回は長い昼寝の危険性について解説していきます。
長い昼寝の悪影響が出た研究4選
1日1時間以上の昼寝は認知機能の向上が見られています。
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認知機能を最大化する昼寝の長さを検証した研究3選
しかし、その一方で何らかの悪影響が確認されている研究も多いです。今回は悪影響を確認した研究を4つ紹介します。
1.1日1時間の昼寝が糖尿病リスクを増大というメタ分析
2016年に発表された東大の研究(1)では、21件の研究をメタ分析しました。対象となったのはアジアと西洋の30万7237人という大規模なデータです。結果は以下のような感じ。
結果
- 1時間以上の昼寝が2型糖尿病リスクを45%上昇させた
- 1時間未満の昼寝は糖尿病のリスクと関連なし
- 1時間以上の昼寝群は肥満リスクをわずかに上昇
上記のように、長い昼寝と糖尿病のリスクと関連が見られました。しかも大規模なデータとなったメタ分析なので、信頼性も高めです。
2.1日1時間以上の昼寝が全死因死亡リスクを32%高める
2015年に行われたイギリス人を対象とした実験(2)では、1時間以上の昼寝が全死因死亡率のリスク上昇と関連していました。この研究では1998年から2000年の間で16374人に対して、健康調査票に回答してもらっています。昼寝の時間は以下の3つに分類しています。
グループ分け
- 昼寝なし
- 1時間未満の昼寝
- 1時間以上の昼寝
調査をすると、1時間以上の昼寝をしていたのは10%程度でした。結果は以下のような感じでした。
結果
- 1時間未満の昼寝は全死因死亡リスクの14%増加
- 1時間以上の昼寝は全死因死亡リスクの32%増加
- 呼吸器疾患による死亡が顕著だった
上記のように昼寝の時間が長いほど、高い全死因死亡リスクと関連があるとわかります。ただ注意したいのは相関があるというだけで、因果関係が証明されていない点です。見方を変えれば、何らかの疾患があるから昼寝の時間が長いとも取れます。
3.1時間以上の昼寝がパーキンソン病のリスクを3倍にする
1時間以上の昼寝がパーキンソン病のリスクを3倍にするという研究(3)も発表されています。
パーキンソン病を患っていない2920人の高齢者男性を対象にした実験が行われています。この研究は11年間の追跡調査が行われました。グループ分けは以下のような感じ。
グループ分け
- 日中に眠気あり&1時間未満の昼寝
- 日中に眠気あり&1時間以上の昼寝
- 日中に眠気なし&1時間未満の昼寝
- 日中に眠気なし&1時間以上の昼寝
そして、結果は以下のような感じ。
結果
- 1時間以上の昼寝群、パーキンソン病の発症リスクが2倍
- 日中の眠気&1時間以上の昼寝だとパーキンソン病の発症リスクが3倍
- 1時間以上の昼寝群は30分未満の昼寝と比較して、パーキンソン病リスクが2倍以上になった
上記のように、長い時間の昼寝は高齢者男性のパーキンソン病の高いリスクと関連していました。ただし、若者でどこまで言えるのかはわかりません。
4.2時間以上の昼寝が認知症リスクを52%高める
高齢者男性を対象にした研究(4)では、1日2時間以上の昼寝をした男性が認知症リスク52%増加していたことがわかりました。この研究は2751人の高齢者男性を対象に、昼寝時間とその後12年間の認知症リスクを追跡調査した実験です。昼寝時間の内訳は以下のような感じでした。
グループ分け
- 30分未満:1,061人
- 30-60分:795人
- 60-120分:642人
- 120分以上:253人
そして、研究期間内に522件の認知症が確認されました。すると、2時間以上の昼寝をしている群には以下のような結果が出ました。
結果
- 認知症のリスクが52%増加
- 平均年齢やBMIが高い
- 高血圧や糖尿病などの疾患を持つ割合が高い
ちなみに認知症リスクに関しては以下の要素は調整されています。
調整されている要素
- 年齢
- 教育
- BMI
- 喫煙
- 身体活動
- うつ病
- 併存疾患
- 睡眠薬の使用
- ベースラインのグローバル認知
ただし、これらの結果から長い昼寝が認知症のリスクを高めるとは言えません。パーキンソン病の研究でもそうですが、元々弱っている高齢者は昼寝の時間が長いという可能性があるからです。
とはいえ、著者らは過剰な昼寝は認知症リスクの初期マーカーになる可能性があるとしています。認知症になりやすいかどうかの簡単な目安としては良いかもしれませんね。