イギリスの子供を対象としたコホート研究によると、孤独な人ほど全体的な睡眠の質が低いと示されました。
孤独と睡眠の研究
この研究(1)は2,232人のイギリス人の子供を追跡したコホート研究です。調査は子供が以下の年齢のときに行われました。
グループ分け
- 7歳
- 10歳
- 12歳
- 18歳
調査は調査面接官による家庭訪問です。当たり前ですが、12歳以下のときは母親が同伴して調査を受けています。そして、調査内容は以下のような感じ。
調査内容
- 孤独感
- 睡眠の質(PSQI)
- うつ病
- 不安
- アルコール
- 雇用状態
- ADHD
- 少年被害アンケート(子供のときに暴力や虐待を受けたか)
これらのデータを調査してみると、結果は以下のような感じ。
結果
- 孤独な人ほど、全体的に睡眠の質が悪かった
- 他にも、うつ病や不安、アルコール使用、ADHD、PTSD、ニート、乳児の親はすべて睡眠の質と関連していた
- 孤独感はPSQIにある7つの要素とそれぞれ有意に関連していた
- 孤独を感じた双子は感じてない双子よりも睡眠の質を低下させた
- 暴力や虐待を経験した人ほど、大きな孤独感や悪い睡眠の質をどちらも経験した
これらの結果から、孤独感と低い睡眠の質は小さい関連を示しました。特にPSQIのそれぞれと有意に関連が見られたのはビックリですね。
PSQIの要素は以下のような感じ。
PSQIの要素
- 主観的な睡眠の質
- 眠るまでの時間
- 睡眠時間
- 睡眠効率
- 睡眠障害
- 睡眠薬の使用
- 昼間の機能不全
これらと孤独が関連しているとは孤独の深刻さがわかりますね。ちなみに睡眠とうつ病や不安、アルコールなどと関連も見られていますが、孤独と睡眠の質の関連を説明しませんでした。
つまり、孤独は独立して睡眠の質低下をもたらしているわけですね。孤独が睡眠の質を低下させるメカニズムを著者はストレス反応で説明しています。
孤独感は循環血中コルチゾールの変化と関連しており、視床下部-下垂体-副腎軸の活性化亢進を示している。この過程から生じる生理的な覚醒は,孤独な人の睡眠障害に関与する可能性がある。
つまり、孤独になるとストレスホルモンの影響で、目が覚めてしまうため、睡眠に悪影響が出るわけですね。
それではぜひ参考に。