就寝前の光が睡眠に悪影響を与えるのは有名ですが、今回はどのくらいのレベルまで浴びるとアウトなのかを調査しました。
就寝前の光による悪影響
夜間の光が与える影響については、2015年に文献レビュー(1)が発表されています。この研究は夜の光が人に与える影響を調査している論文をかき集め、精査した85件の論文をレビューしました。結果は以下のような感じです。
結果
- 夜の人工光と乳がんリスクが関連
- 夜勤と乳がんリスクが関連
- 寝室が暗いほど、肥満率の低下が見られた
- 夜勤の人ほどメラトニンレベルが低い
- 夜の光は入眠潜時(眠るまでの時間)を有意に上昇
- 夜の明るい光がメラトニン低下・覚醒を促進
- 体内リズムの進みを遅らせる
就寝前に光を浴びるのが睡眠の質を低下させるのは有名な話です。しかし、乳がんリスクや肥満にまで影響を及ぼすとはびっくり。他にも心理的機能や心血管機能、代謝機能、免疫系機能にも悪影響を及ぼす可能性があります。
メラトニンって何?
メラトニンとは、眠気を誘うホルモンのことです。
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これはスゴイ!あらためてメラトニンの効果と副作用をまとめてみた
どのくらいの光を浴びると影響があるの?
この論文では、色々な研究の結果を掲載しています。
結果
- 2500-2800ルクスは100-120ルクスと比べてメラトニンの分泌を抑制した
- 10ルクスと比べて100ルクスの光は低いメラトニンレベルだった
- 3ルクスと比べて200ルクスの光を浴びるとメラトニン量が減少し分泌も遅れた
ルクスとは、光の強さの単位です。結果から見ると、100ルクスでもメラトニンへの影響が出ています。ただ研究も一貫した結果を出しているわけではないので、具体的に影響の出る強度は不明です。ちなみにルクスの目安は以下のような感じ。
状況 | 照度 |
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夜の部屋の明るさ | 500-700ルクス |
部屋の豆電球 | 約10ルクス |
スマホ(距離15cm) | 約300-400ルクス |
パソコン(距離50cm) | 約50ルクス |
※スマホ・パソコンの明るさは(2)の研究からざっくり計算
目安から見ても100ルクスは、結構暗いです。この研究結果から「夕方以降は100ルクス以下で過ごす」というのは中々現実的ではありません。
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残念ながらiPadのNightShiftモードは睡眠への影響を完全に防げないようだ
夕方以降はブルーライトカットをするのが現実的か
(1)の論文ではブルーライトによる睡眠への影響についてもまとめられています。結果は以下のような感じ。
結果
- 460nmの光は550nmの光と比較して、主観的眠気の減少と覚醒度の増加
- ブルーライトは覚醒度を高めながら、メラトニン濃度と眠気の両方を減少
- ブルーライトは小さい光でも睡眠中のEEG(脳波)に影響
ざっくり見ると、ブルーライトが睡眠の質を下げるとわかります。
ちなみに(2)の研究では、ブルーライトがスマホの光に21%、パソコンの光に10%含まれていると発表しています。スマホは光の強さ・ブルーライト量ともに強いので、何かしら対処したいところ。
ブルーライトをカットして効果はあるのか?
効果はあるのが自然ですが、どこまで効果があるのかは(1)の論文で掲載されていました。研究では480nmのブルーライトを排除しています。
ちなみに人の体内リズムが一番敏感な波長は479nmと発表(3)されているので、それに近い数値です。結果は以下のような感じ。
結果
- メラトニン分泌抑制を改善
- 概日リズムの変化を防止
- コルチゾール分泌の増加を改善
- 末梢時計遺伝子発現の破壊を防止
※コルチゾールとは、ストレスホルモンのこと
ブルーライトカットすると、睡眠や体内リズム、ストレスへの悪影響が防止できるとわかります。ブルーライトの対策としては「ブルーライトカットメガネ」や「アプリ」などが第一選択肢かなと。
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ブルーライトカットメガネの効果の証拠ってどのくらいあるの?
個人的にはブルーライトカットメガネを愛用していますが、取り入れる価値を実感しています。それではぜひ参考に。