今回は睡眠不足のときにどのくらい昼寝をするのがベストなのかを解説していきます。
一般の人が睡眠不足のときは30分がベスト
2015年に発表された研究(1)では11人の成人男性を対象に3日間の実験を行いました。
実験の流れ
- 初日:8時間睡眠
- 2日目:2時間睡眠⇒昼寝
昼寝は9時30分と15時30分に30分の昼寝が行われ、昼寝なし群と比較します。そして参加者からは睡眠モニタリングや唾液、尿のサンプルを摂取しています。結果は以下のような感じ。
結果
- 睡眠不足によってノルアドレナリンが2.5倍になった
- 睡眠不足によって唾液インターロイキン6は有意に低かった
- 30分の昼寝群はノルアドレナリンとインターロイキンに変化なし
これらの結果から睡眠不足時の昼寝はストレス解消効果があるとわかります。
メモ
ノルアドレナリンとは、ストレスを感じたときに分泌されるホルモンです。過剰に分泌されると、イライラや緊張の原因となります。一方のインターロイキン6は免疫に関わるサイトカインの1つです。炎症のメカニズムに関わっていて、減ると免疫力低下につながります。
簡単にいうと、昼寝はストレス解消と免疫力改善の効果がある可能性を示唆しているわけです。ただこの研究はサンプル数も少ないので、また新しい研究を待ちたいところ。とはいえ、睡眠不足のときに30分の昼寝をしてみる価値はあります。
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認知機能を最大化する昼寝の長さを検証した研究3選
アスリートは90分の昼寝で良い結果が出た
アスリート向けの別の研究(2)では、昼寝がスプリントパフォーマンスを改善しました。この研究は9人の柔道をやっている若者を対象に3週間行いました。この実験は1週間間隔でランダムに以下の3つに分けています。
グループ分け
- 昼寝なし
- 20分の昼寝
- 90分の昼寝
睡眠制限は22時-2時30分までの4時間半に設定されました。そしてスプリントテストや血液サンプルを取って終了しています。結果は以下のような感じ。
結果
- 昼寝はスプリントパフォーマンスを向上させた
- 90分の昼寝は20分の昼寝と比べてスプリントパフォーマンスが高い
- 昼寝は血液学的反応を改善した
この論文では昼寝をすることで身体的生産量が増加し、それによって血液学的・生理学的なパラメータのレベルが増加したと書かれています。具体的な指標は一つひとつ解説しませんが、気になる方はぜひ論文を参考にしてみてください。
また20分と90分の昼寝では、90分の昼寝の方が大きく改善しています。ただ注意したいのは、90分の昼寝をした後はマグネシウム減少と血中のカリウムレベルの向上が見られました。高いカリウムレベルは筋肉の興奮を低下させて、疲労の過程に関わっていることは証明されています。
つまり、90分の昼寝をしてパフォーマンスが上がっても、疲労は溜まりやすいかもしれません。正確なメカニズムは解明できていないので、なんとも言えませんが注意はしたいところです。
それではぜひ参考に。
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