今回は眠ろうとするほど眠れない理由について解説していきます。
眠りたいという意思が睡眠の質を悪化させた研究
この研究(1)では35人の睡眠障害を持たない人に行われました。参加者は午後の時間(12時30分か14時30分)に1週間間隔で二度訪れています。そして、各参加者は「やる気を起こさせる指示」と「中立的な指示」の2つに無作為に分けました。
それぞれの指示は以下のような感じ
指示内容
- やる気を起こさせる指示:できるだけ早く眠りにつければ、金銭的な報酬が得られます
- 中立的な指示:眠れるかどうかは関係ありません。ただリラックスしてください
つまり、「早く眠りにつきたいグループ」と「対照グループ」に分けたわけです。後は睡眠ポリグラフや睡眠の主観的な評価をしてもらって、実験は終了しています。
結果は以下のような感じ。
結果
- 眠りたい意思は睡眠の覚醒回数を有意に増加
- 眠りたい意思が目覚める総数を増加(有意ではない)
- うつ病スコアと覚醒の数が関連していた
- 総睡眠時間・最長の連続睡眠時間をわずかに減少
この結果からわかるように、眠りに入ろうとする意思は睡眠を断片化させて、睡眠を悪化させました。著者らは眠ろうとする意図は、一部の不眠症に対する脆弱性を増大させる可能性があるとしています。
というのも、不眠症の人ができるだけ早く眠りにつこうと試みていることは研究(2)でもわかっています。実際私も睡眠障害だった頃に眠ろうとする意思が強かったので、かなり共感できる部分です。しかし、この意思が逆に不眠症を悪化させて、睡眠の質を下げている可能性があるわけですね。
眠ろうとする意思の対策
論文では対策までは挙げられていませんが、私の先生は刺激制御療法を推奨していました。
このあたりはこちらを参考に。
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誰でも簡単に使える刺激制御療法のやり方と科学的根拠
それではぜひ参考にしてみてください。