シドニー大学の研究によると、プラセボ効果は不眠症に対して小から中程度の有意な効果があると発表されました。
思い込みが不眠症に与える影響
この研究(1)はプラセボが与える不眠症への影響を調査したメタ分析です。プラセボとは、人の思い込みによって本当に効果が出てしまう現象のことを言います。
研究でもこの効果を考慮しながら実験が行われるわけですが、今回はプラセボ自体が不眠症にどこまで影響を与えるかを調査しました。最終的に対象となった研究は13件で、合計566人の参加者が含まれています。内訳は以下のような感じ。
試験の内訳
- ランダム化比較試験:9件
- プラセボに焦点をあてた研究:4件
基本的に全くの無治療とプラセボを比較しています。結果は以下のような感じ。
結果
- 眠りにつくまでの時間はわずかに有意な減少を示した(g=0.272)
- 総睡眠時間は有意に小さな増加が見られた(g=0.322)
- 睡眠の質は中程度から大規模に有意な改善を示した(g=0.581)
※Hedgesのg
結果はプラセボが睡眠に有意な効果があると示されました。全体的な効果サイズを見ると、0.272から0.581の範囲で、小から中程度の効果があると言えます。
思い込みだけでここまで効果が出るのは中々大きそうですね。ちなみに今回はプラセボと無治療で比較しているので、ホーソーン効果や平均への回帰などの別要因は含まれません。
著者は今回の結果について以下のように述べています。
プラセボ効果は薬物治療や認知行動療法に寄与する可能性があります。臨床医は治療の提供における患者の期待を促進することにより、睡眠の結果を改善するためにプラセボ効果を活用することができます。
今回のプラセボ効果は眠りにつくまでの時間や総睡眠時間、睡眠の質において確認されました。もし人に睡眠を改善する方法を紹介するときは期待を煽るような言い方をするのが良いかもしれないですね。
それではぜひ参考に。