今回は眠りが浅くなる原因や睡眠に悪影響を与える要素をまとめていきます。
点数の付け方をざっくり解説
この記事での点数付けは以下のような感じです。
科学的根拠 | 対応のしやすさ | |
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5点 | 系統的レビューやメタ分析が1つ以上あり | 今すぐできる |
4点 | ランダム化比較試験が1つ以上あり | 少しお金がかかる/少し手間が必要 |
3点 | 前後比較・対照群のなし比較試験が1つ以上あり | ややお金がかかる/やや手間が必要 |
2点 | コホート研究やケースコントロールが1つ以上あり | かなりお金がかかる/かなり手間が必要 |
1点 | 予備研究や動物実験 | ほとんど不可能 |
エビデンスを詳しく知りたい方は「論文のエビデンスレベルについて」をご参考に。大体のレベルはスターを見ればわかるようになっています。
環境
職場に光がない
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
オフィスに窓があるかどうかは睡眠時間に影響を与えるとわかっています。具体的には窓のある労働者は平均で46分も睡眠時間が長いと示されました。逆に窓のない労働者は身体的の問題や活力が有意に悪かったです。これはオフィスの問題なので、どうしようもない場合もあるかと思います。論文の著者は休憩中に散歩したり、屋外でランチしたりすることを推奨していました。
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職場の光が睡眠の質にも影響?窓のないオフィスが睡眠を悪くする
睡眠中の豆電球
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
実は睡眠中に薄暗い光を浴びるだけで、睡眠に悪影響が出るとわかっています。研究では総睡眠時間の減少や睡眠効率との関連が見られました。実験は5ルクスと10ルクスを試していて、10ルクスで睡眠の質を低下させています。つまり、10ルクス以下であれば、睡眠に悪影響はないわけです。ただ10ルクスは豆電球レベルの明るさなので、それ以下となると明かりとして意味があるかはわかりません。
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睡眠中の〇〇が睡眠効率・睡眠の質をガクッと低下させる
就寝前の光
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
就寝前の光が睡眠に悪影響を出すのは有名ですよね。メラトニンの減少・眠りにつくまでの時間を有意に上昇させ、体内リズムの進みを遅らせます。他にも夜の人工光が乳がんリスクや肥満と関連が見られています。とはいえ、夕方以降は電気をつけないというのは非現実的なので、対策としてブルーライトカットメガネがオススメです。
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想像以上にやばい!就寝前の光が絶大な悪影響を引き起こす
二酸化炭素
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
寝室のCO2レベルが増加すると、睡眠の質が悪くなるとわかっています。具体的には睡眠が浅くなったり、睡眠効率が低下したりしました。対策は簡単で、寝室の換気をすることです。研究では窓を開放すると、有意に低いCO2レベルが示されています。騒音や防犯の問題もあるので、就寝前だけでも換気をしておくのがオススメです。
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誰でも簡単!睡眠の質を数秒で上げたいなら、”換気”をしよう
暑い寝室
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
睡眠は寝室が暑いと悪影響が出ます。この辺は経験的にもイメージしやすいですよね。具体的には暑い環境だと徐波睡眠・レム睡眠どちらも有意に減少させ、睡眠中の覚醒回数を増加させます。(1)対策としては部分的な冷却であったり、エアコンであったりが挙げられます。
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夏に寝苦しい人必見!部屋が暑くて眠れないときの科学的な対処法
騒音
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
うるさい部屋で眠れないというのは当たり前の話ですよね。研究では集中治療室の患者さんを対象にしたものが多いです。集中治療室の騒音がどれだけヒドイかというと、50%以上の時間で52-59dBAを超えていました。目覚まし時計が60dBAくらいなので、常に目覚まし時計級の音がなっている状態です。これでは不眠にもなりますよね。集中治療室の患者さんを対象にした研究では、耳栓で睡眠が改善しました。
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うるさくて眠れないときの耳栓は科学的にどこまで効果ある?
食べ物・飲み物
アルコール
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
アルコールは一見すると、睡眠に良さそうなのが困りもの。正常な睡眠への研究でもアルコールの大小に関わらず、眠りにつくまでの時間が減少し、前半に徐波睡眠(深い睡眠)が増加しました。寝付きの悪い人がアルコールを頼りたくなる気持ちがよくわかりますね。しかし、睡眠後半になると覚醒回数が増加して、いびきや睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が確認されています。寝る前のアルコールはオススメできません。個人的には寝れないなら「ナイトレスト」をオススメします。
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驚愕の事実!アルコールは正常な睡眠の人にどんな影響を与えるのか?
カフェイン
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
カフェインの影響は就寝6時間前の摂取でも見られています。就寝が12時の場合、6時に飲んだら、悪影響が出てしまうわけですね。論文では午後5時以降のカフェイン摂取は制限するべきと推奨されていました。個人的にも5時を目安にしています。夕方以降のコーヒーやお茶系には注意しましょう。
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カフェインは睡眠に悪い!では、就寝何時間前から悪影響が出るの?
メンタル
ストレス
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
ストレスは眠りにつくまでの時間を増加させて、徐波睡眠(深い睡眠)を減少させるとわかっています。特に慢性的なストレスは交感神経を継続的に活性化し続けます。(2)つまり、睡眠でもリラックスできず、常に覚醒した状態になってしまうわけですね。ストレス対策に関しては「ストレスの発散方法」をご参考に。
眠りたいという意思
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
眠ろうとする意思は睡眠の覚醒回数の増加や総睡眠時間の減少が確認されています。しかも、一部の不眠症を悪化させる可能性があるとか。ベッドに入っても眠れない経験がある人は多いでしょうし、中々辛いですね。対策としては「認知行動療法」が挙げられます。
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眠れねぇ!眠ろうとすればするほど、睡眠の質は低くなる
孤独
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
孤独は睡眠の質にも悪影響があります。コホート研究では孤独な人ほど、全体的な睡眠の質が悪かったです。具体的には眠るまでの時間や睡眠効率、総睡眠時間などと関連が見られています。しかも、孤独は独立して睡眠の質を低下させているとわかっているので、深刻な問題ですよね。
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孤独がヤバすぎ!孤独は睡眠の質にも悪影響を与えていたという話
電子機器
動画視聴
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
ネットサーフィンや動画、ゲームなどは就寝前に悪いものとして挙げられています。研究でもすべて睡眠に悪影響を与えましたが、最も悪影響があったのは動画視聴でした。スマホは全般的に避けるのが無難ですが、動画視聴は特にオススメできません。
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注意!就寝前の行動は睡眠の質にどこまで影響する?ネットやスマホの悪影響
ナイトモード
エビデンスレベル:
対応のしやすさ :
iPadのナイトシフトモードを調査した研究では、ナイトモードでもメラトニンの減少が確認されました。通常よりも防止はできたものの、睡眠への悪影響を完全に防げなかったわけです。また当然ながら、使用時間が長ければ長いほどメラトニンの減少率が大きくなります。時間は制限しつつ、光のレベルを下げるなどの工夫がオススメです。
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残念ながらiPadのNightShiftモードは睡眠への影響を完全に防げないようだ