暑くて眠れない経験は誰でも一度くらいあります。暑いときの局所的冷却を調査した研究では、背中を冷やすと睡眠効率が上がるという調査結果が発表されました。
暑さによる睡眠の質低下を改善するための局所的冷却
この研究(1)は健康な16人の男性を対象として行われました。参加者はランダムで以下の4つに分かれています。
グループ分け
- 背中と頭(首)を冷やす
- 背中を冷やす:水が流れる市販の低温ブランケット
- 頭(首)を冷やす:水が流れる枕
- 冷却なし
4つにグループ分けはしていますが、2-3日の間隔ですべての条件を行っています。実験室の室温は31℃前後に設定され、低騒音レベル(30デシベル)で維持されました。環境はエアコンなしの夏と同じですね。
測定内容は以下のような感じ。
診断内容
- 睡眠ポリグラフ
- 主観的なアンケート(睡眠の質や熱的快適性)
- 体温
それぞれ測定して実験は終了です。結果は以下のような感じ。
結果
- 安眠と睡眠の満足度は3つの冷却群で有意に高かった
- 首・背中を冷却群は睡眠時間が長く、睡眠効率が高く、中途覚醒回数が少なく、中途覚醒時間が短い
- 首・背中群は他3つよりも浅い睡眠が短く、深い睡眠が長かった
- 睡眠効率は「背中頭:95.2%」「背中:92.8%」「頭:88.5%」「なし:84.1%」
- 皮膚温度は「背中・首」と「背中」群で1.5~2℃低下させた
これらの結果から、「背中・首」「背中」の冷却は睡眠を有意に改善するとわかります。特にこの2つの条件で睡眠効率が約10%も増加しました。
しかし、頭部の冷却だけでは効率的な睡眠を維持することはできませんでした。とはいえ、主観的な睡眠の質や深い睡眠の時間を増加させることはできていますね。
著者は今回の結果について以下のように述べています。
この結果は局所的な冷却のために熱ストレスを軽減し、良好な睡眠を維持するために十分に広い領域を冷却することが重要であることを示唆しています。しかし、これは体全体を冷やすことが望ましいということではありません。なぜなら暖かい足は人々が急速に眠りに落ちることを可能にするからです。
ちなみに背中単体は頭単体よりも睡眠効率が良いですが、睡眠の快適さを追求するなら頭部の冷却も重要になってきます。
頭と首は全体的な熱感に適度に影響するだけであると示されており、人は通常頭と首を涼しく保つことを好む。このように、頭と首の局所的な不快感を取り除くことは決定的な影響を持ち、睡眠中に全体的な快適さを達成することにおいて高い優先順位を持つべきである。
実践的には頭と背中の冷却をどちらもする方が良いかもしれません。
暑くて寝苦しいときはぜひ参考に。