このページでは快眠ノウハウをまとめて紹介します。
点数の付け方をざっくり解説
この記事では、ノウハウを科学的根拠のレベルや手軽さで評価しています。
科学的根拠 | 手軽さ | |
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5点 | 系統的レビューやメタ分析が1つ以上あり | 今すぐできる |
4点 | ランダム化比較試験が1つ以上あり | 少しお金がかかる/少し手間が必要 |
3点 | 前後比較・対照群のなし比較試験が1つ以上あり | ややお金がかかる/やや手間が必要 |
2点 | コホート研究やケースコントロールが1つ以上あり | かなりお金がかかる/かなり手間が必要 |
1点 | 予備研究や動物実験 | ほとんど不可能 |
エビデンスについて詳しく知りたい方は「論文のエビデンスレベルについて」をご参考に。難しいのが嫌いな方はスターを見れば、大体のレベルが把握できるかと思います。
基礎知識
クロノタイプ
エビデンスレベル:
手軽さ :
クロノタイプとは、いわゆる体内時計のことを言います。一般的には朝型とか夜型とか言われているあれですね。最近の研究では「朝型」「夜型」「昼型」「昼寝型」の4つに分類されることがわかっています。4つの分類はまだ研究が進んでいませんが、昼型も昼寝型も珍しくありません。
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これは面白い!1305人の大規模調査でわかった4つのクロノタイプ
快眠のための行動
入浴のタイミング
エビデンスレベル:
手軽さ :
入浴は睡眠の質を改善します。というのも、入浴によって深部体温が上がり、その反動で深部体温が低下すると、寝付きやすくなるからです。研究でも入浴で体温が大きく上昇し、休憩を挟むと低下していきました。睡眠にベストな入浴のタイミングは睡眠のおよそ1-2時間前です。
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今日から使える!睡眠の質を高めるベストな入浴のタイミングはこれ
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【メタ分析】就寝何分前に入浴するのが睡眠にとってベストかの科学的な回答
運動
エビデンスレベル:
手軽さ :
運動は睡眠の質を改善するとわかっています。有酸素運動・筋トレともに効果が確認されていて、週75-150分以上の運動でOKです。特別運動量や強度が必要なわけではないので、平均的な運動で問題ありません。眠るまでの時間も短縮が見られているので、寝付きづらい人はおすすめです。
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運動が睡眠の質を高めるという話はどのくらい科学的根拠があるのか?
運動のタイミング
エビデンスレベル:
手軽さ :
運動のタイミングは就寝直前でも中程度レベルなら、睡眠に悪影響は与えないとわかっています。夕方以降でも全く問題はないので、ご安心ください。あまりないとは思いますが、就寝直前にHIITのような高強度トレーニングをすると、眠るまでの時間が長くなり、睡眠効率が低下します。
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運動が不眠の原因に?睡眠にとってベストな運動のタイミングはいつか?
仕事終わりに精神的な休憩
エビデンスレベル:
手軽さ :
仕事終わりに心理的に仕事から離れてリラックスできる人ほど、睡眠時間が長いとわかっています。家に帰ってからもスマホやパソコンで仕事をしてしまう人は心理的に離脱できず、反すうや不眠症と関連が見られました。リラックスの例としては音楽鑑賞や散歩、瞑想などが挙げられています。
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寝付き悪い人必見!仕事終わりに精神的な休憩を入れると睡眠が改善する
瞑想
エビデンスレベル:
手軽さ :
マインドフルネス瞑想と睡眠の質を調べた系統的レビュー(メタ分析)では、中程度の睡眠の質改善が示されています。睡眠の治療と比べると影響は小さいものの、手軽でお金いらずなのが魅力的です。不眠症に対しても、眠るまでの時間や睡眠効率、夜の覚醒時間の有意な改善が見られています。ストレスだけではなく、睡眠にも良さげです。
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瞑想好き必見!マインドフルネス瞑想は睡眠の質をどれほど改善するのか?
ゆったりとした音楽
エビデンスレベル:
手軽さ :
音楽は正常な睡眠の人に対しても効果があります。研究では「Drifting into Delta」という睡眠用音楽を寝る前に聞かせると、徐波睡眠(深い睡眠)が46.18%増加したという結果が出ました。
音楽を聞く時間は約14分でOKですし、音源はYouTubeにもあるので手軽で簡単に睡眠の質を改善できます。
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これは実践的!健康な人の昼寝を激しく改善する音楽が見つかった
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睡眠に音楽が中々良い・・・。音楽で睡眠を改善した研究まとめ
体内リズムの改善
エビデンスレベル:
手軽さ :
夜型の人が就寝時間を2-3時間前にすることで、日中にピークパフォーマンスを変えられるとわかっています。研究では認知パフォーマンスや身体パフォーマンスだけではなく、ストレスやうつ病も有意に低下しました。個人的にはいきなり2-3時間前に戻すのは困難だと思うので、週に15-30分ずつ戻してみるのがおすすめです。
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夜型の人は体内リズム改善でパフォーマンスのピークを日中にシフトできるぞ
就寝中の冷却
エビデンスレベル:
手軽さ :
暑くて眠れないというときはアイス枕が定番ですが、実は睡眠効率は低めです。おすすめは背中と頭をどちらも冷却することです。研究では睡眠効率に7ポイント程度差が出ています。睡眠の快適さを重視するなら、頭と背中の不快感を取り除くのは優先順位が高めです。
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夏に寝苦しい人必見!部屋が暑くて眠れないときの科学的な対処法
ネット断食
エビデンスレベル:
手軽さ :
夜9時以降からネット断食した研究では、総睡眠時間の増加や睡眠開始時間が早まるなどの改善が確認されています。この研究では日中の注意力も測定していて、反応速度が改善しました。夜9時以降はスマホやパソコンを禁止すると、睡眠や注意力の改善が見込めますね。就寝時間が遅くなりがちな人は試してみる価値ありです。
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「夜9時以降はスマホ禁止」のネット断食は睡眠に効果があるのか?
快眠アイテム
ブルーライトカットメガネ
エビデンスレベル:
手軽さ :
ブルーライトがメラトニン(眠気を誘うホルモン)を減らすことはよく知られています。そんな中でブルーライトカットメガネの研究も行われていて、睡眠の時間・質ともに有意な改善が見られています。特にメラトニンの減少も抑制できるので、とてもおすすめなメガネです。
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ブルーライトカットメガネの効果の証拠ってどのくらいあるの?
耳栓
エビデンスレベル:
手軽さ :
睡眠中の耳栓はうるさい環境ではとても効果を発揮します。集中治療室においての耳栓・アイマスクの研究では、睡眠の質向上や眠りにつくまでの時間の減少などが確認されています。基本的に静かな環境で寝ているなら付ける必要はありませんが、うるさくて眠れないという経験がある人は持っておいて損はありません。
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うるさくて眠れないときの耳栓は科学的にどこまで効果ある?
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睡眠に効果的な耳栓はモルデックス!9種類のモルデックスを比較してみた
アイマスク
エビデンスレベル:
手軽さ :
アイマスクも耳栓と同じく集中治療室のような夜でも明るい部屋で研究が行われています。結果は睡眠の質向上や眠りにつくまでの時間減少などが見られていますね。こちらも基本的に明るい部屋でなければ必要はありません。ただ個人的には昼寝のときに愛用しているので、昼寝の習慣がある方はおすすめです。
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明るくて眠れないならアイマスクは科学的にどこまで正しいのか?
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アイマスクが睡眠の質を高める?本気でオススメの「テンピュールアイマスク」
ホットアイマスク
エビデンスレベル:
手軽さ :
ホットアイマスクも研究が行われていて、主観的な眠気や心地よさ、心拍変動などが確認されています。著者によると、副交感神経の増加を示した可能性があるとのことです。睡眠に対して著しい効果があるわけではありませんが、一切効果がないわけでもありません。特別おすすめはしませんけど。
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意外と根拠があった!?ホットアイマスクが睡眠の質を改善するかもしれない
アロマセラピー
エビデンスレベル:
手軽さ :
アロマセラピーは系統的レビューで睡眠の質改善が示されています。最も実験で使われているのはラベンダーとベルガモットの2つです。アロマセラピーが素晴らしいのはメンタルにも強い効果を発揮する点。不安やうつ病にも効果があります。寝る前にスイッチを入れておくだけなので、かなりおすすめです。
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アロマセラピーの科学的根拠まとめ!睡眠改善の効果はどれほどか?
ウェイトブランケット
エビデンスレベル:
手軽さ :
ウェイトブランケットとは、8kg前後の重いブランケットのことです。不眠症とウェイトブランケットの研究では、睡眠時間の増加や眠りにつくまでの時間短縮、主観的な睡眠の質改善などが見られています。もともと圧迫刺激で副交感神経を増加させることがわかっているので、重いブランケットが良いわけですね。寝るときに不安やストレスを感じる人は試してみる価値があります。
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睡眠の質をサクッと上げるならウェイトブランケットをオススメしたい
ベッドソックス
エビデンスレベル:
手軽さ :
個人的に意外と良いなと感じたのがベッドソックス。眠りにつく時間や睡眠効率、睡眠時間が改善されました。睡眠には体温の変化が重要です。なので、入浴が効果的なわけですが、ベッドソックスの場合皮膚温度の上昇が起床まで維持されるとわかっています。寒い時期に試してみる価値です。
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これは意外!寒いときのベッドソックスは睡眠をかなり改善するかもしれない
環境
朝日
エビデンスレベル:
手軽さ :
体内リズムは光によって変化するので、とても重要な要素です。実際に朝日を浴びると、体内リズムを早めてくれたりメラトニンを増加させたりするとわかっています。うつ病や睡眠障害の治療には光療法という方法があるくらいです。朝日が大事と知っているけど、実践できてない人の方が多いでしょう。ちなみに必要な明るさは部屋の中だと足りないので、外へ出て浴びるのがおすすめです。
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日光を浴びる最適な時間が判明!朝日が睡眠に与える影響とは?
赤い光
エビデンスレベル:
手軽さ :
ブルーライトが睡眠に悪影響を与えるのは有名な話です。そこで疑問なのは「光の色によって影響が違うのでは?」という点です。これも研究されていて、赤い光は暗いのと同じレベルでメラトニンに影響しないことがわかっています。つまり、人の体内リズムは赤い光には敏感ではないわけですね。実践的には夕方以降は暖色系の光に変えるのがおすすめです。
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夕方以降は〇〇光がベスト?夕方以降の光はこれで決まり
換気
エビデンスレベル:
手軽さ :
寝室の換気レベルが低くなると、睡眠の質が悪化するとわかっています。具体的には睡眠効率や睡眠深度が低下しました。研究では窓を閉じているだけで有意に高いCO2レベルだと確認されていますし、寝る前には換気しておくのがおすすめです。個人的にも寝る時は基本的に窓をあけています。
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誰でも簡単!睡眠の質を数秒で上げたいなら、”換気”をしよう
認知行動療法
睡眠日誌
エビデンスレベル:
手軽さ :
睡眠日誌は人の睡眠を正確に記録するためのツールです。睡眠障害の治療でも利用されていますが、今はスマホアプリがあるので手軽に使えます。睡眠の評価法としては特別精度が高いわけではありませんが、主観的な評価の中では最も精度が良いです。アプリでは質問に答えていくだけなので、ほとんど手間いらずで記録できるのは魅力的ですね。
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【保存版】睡眠日誌の総まとめ!日記の効果や書くべき最低日数は?
刺激制御療法
エビデンスレベル:
手軽さ :
刺激制御療法とはベッドと睡眠を関連付けして暗示する認知行動療法の1つです。やり方は以下のルールを守るだけです。
やり方
- 寝室は睡眠のみに使用
- 毎朝一定の時間に起床
- ベッドに入るのは眠くなったときだけ
- 15分で眠れなければ別の部屋で待機する
- 昼寝はしない
実践は比較的カンタンですし、睡眠障害の治療でも指示されることがあります。とてもおすすめです。
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誰でも簡単に使える刺激制御療法のやり方と科学的根拠
睡眠制限療法
エビデンスレベル:
手軽さ :
睡眠制限療法は名前の通り、睡眠を制限する認知行動療法のことです。実際に睡眠時間を減らすというよりはベッドにいる時間を減らすテクニックとなります。研究では睡眠の質や睡眠効率、眠りにつくまでの時間が改善しました。ベッドに入ってから眠れない人は試してみてください。
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睡眠制限療法とは?睡眠時間を減らして質を高める認知行動療法の話
逆説的意図
エビデンスレベル:
手軽さ :
眠る努力を「しない」認知行動療法です。具体的には以下のような指示がされます。
やり方
- 起きているようにしてください
- 明かりを消してベッドの中で横になりますが、目は開けたままにしてください
- 眠りにつくためにあらゆる努力をやめましょう
- まだ起きていることへの懸念をあきらめてください
- 眠くなったときは、「もう2、3分起きて、準備ができたら自然に眠ります」と静かにつぶやいてください
- 意図的に目を覚まそうとはしないでください。もし眠る努力をしなければ、眠りが自然に来るのを見つけられます。
不眠症の認知行動療法に含まれていないことが多いですが、薬や認知行動療法が効かない場合は試してみる価値ありです。
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眠れないならもう少し起きてみたら?逆説的意図による睡眠戦略
睡眠が正常な人に認知行動療法は効くのか?
エビデンスレベル:
手軽さ :
認知行動療法は睡眠障害ではない人でも、睡眠を中程度改善できると発表されています。特に改善されたのは睡眠時間と睡眠の質でした。当然ですが、睡眠の状態が悪い人ほど効果は大きかったです。睡眠障害でない人でも効果はあるのでご安心ください。
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ぶっちゃけ睡眠障害でない正常な人に認知行動療法は効くのか問題
食事やサプリ
メラトニン
エビデンスレベル:
手軽さ :
言わずとも知れた睡眠のサプリがメラトニンです。包括的なレビューでは、睡眠の質や眠りにつくまでの時間の改善が確認されています。他にも手術前後の不安や動揺防止、乳がんリスク低下なども挙げられていますね。効果は想像以上ですが、副作用もかなり軽度です。典型的には一過性の頭痛やめまいなどが挙げられていますが、メラトニンをここ数年使っていて副作用を感じたことがありません。日本では薬として使われていますが、アメリカではサプリとして販売されています。
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これはスゴイ!あらためてメラトニンの効果と副作用をまとめてみた
マグネシウム
エビデンスレベル:
手軽さ :
マグネシウム500mgで、睡眠時間や睡眠効率を有意に増加させました。他にも血清メラトニンやコルチゾールも改善していて、睡眠やメンタルへの効果があります。ただし、不安に関しては系統的レビューもありますが、研究の質が悪く決定的ではないという結果です。それでも試してみる価値はありそうですね。
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意外と大事?睡眠の質とメンタルをグンと改善したマグネシウムの話
ビタミンD
エビデンスレベル:
手軽さ :
睡眠障害の人を対象にした研究では、2週間に一度50,000IUのビタミンDサプリで睡眠時間や眠りにつくまでの時間、睡眠効率が改善しています。ビタミンD欠乏症の人は睡眠障害リスクが高いという研究もあるので、健康な人にどこまで効果があるのかはわかりません。ただビタミンDは定期的に摂取しておいて損はないでしょう。ただ一気に50,000IUというのはおすすめできないので、1日3500IUずつがおすすめです。
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意外と効果ある!睡眠を著しく改善したビタミンDの実験まとめ
タンパク質を多く含む食事
エビデンスレベル:
手軽さ :
肥満の人に高タンパク質食を食べてもらうと、睡眠の質を改善させました。ただし、運動している男女にタンパク質食を食べてもらうと、睡眠への影響はありませんでした。タンパク質摂取の研究は中々結果が一貫していない部分があるので、はっきりとした結論は言いづらいです。とはいえ、肥満ぎみの人は高タンパク質の食事で睡眠が改善する可能性は十分にあります。
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肥満の人必見!肥満の人だけが睡眠の質を上げられる食事法がこちら
地中海式料理
エビデンスレベル:
手軽さ :
地中海料理と睡眠の質は関連が見られています。研究では眠りにつくまでの時間と地中海料理への高い遵守と関連がありました。またオリーブオイルは独立して、良好な睡眠の質と関連しています。地中海料理は世界的にも健康的な食事として有名です。記事ではガイドラインも載せているので、ぜひ参考に。
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やはり優秀!地中海式料理は良い睡眠の質と関連していたという研究
低カフェイン緑茶
エビデンスレベル:
手軽さ :
夕食後に緑茶を飲む人は少なくないかもしれません。しかし、緑茶にはカフェインが含まれているため、おすすめできないのが本音です。そこでおすすめしたいのは低カフェイン緑茶です。カフェインは1/3で、テアニンやGABA、アルギニンなどが2-3倍という緑茶です。実際に唾液αアミラーゼ(ストレスホルモン)は有意に低下し、睡眠時間や睡眠効率も改善しました。作り方は記事をご参考に。
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夜に緑茶を飲む人必見!低カフェインの緑茶が睡眠の質とストレスを改善した