うるさくて眠れないときの耳栓を使うのは自然です。今回紹介する研究では耳栓が睡眠の質を改善しました。
耳栓の研究は主に集中治療室患者向けに行われている
耳栓の研究は主に集中治療室の不眠問題をテーマに実験されています。
2013年に行われた調査(1)では、平均45dBAの騒音で50%以上の時間で52-59 dBAを超えていました。
施設によっては、85dBAを超える騒音が一晩で16回起きているという結果も出ています。あまり馴染みのない単位なので、わかりづらいですが、以下が目安です。
100dBA | カラオケ店内、自動車のクラクション |
80dBA | 怒鳴り声、テレビの大音量 |
60dBA | 目覚まし時計、チャイム |
簡単に言ってしまうと、超うるさい部屋で患者さんが不眠に悩んでいるから、耳栓でどれだけ睡眠が改善するのよという実験です。集中治療室は一般人とかけ離れていますが、日々騒音に悩まされているなら、かなり参考になるでしょう。
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科学が教える不眠の原因!眠りが浅くなる理由をまとめてみた
耳栓とアイマスクが睡眠を改善したランダム化比較試験
心血管手術を受けた患者の睡眠の質・不安に対する耳栓とアイマスクの効果を評価したRCT(2)では、睡眠の質を改善するとわかりました。この研究は心臓手術を受けている86人の患者を対象として行われました。
主な評価はPSQI(ピッツバーグ睡眠品質指数)とSTAI(不安インベントリフォーム)で測定しています。で、患者さんは「耳栓・アイマスク群」「なし(対照群)」に分けています。そして、結果は以下のような感じ。
介入群(43人) | なし群(43人) | |
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術前PSQI | 6.76 | 5.79 |
術後PSQI | 6.27 | 8.13 |
※PSQIはスコアが低いほど、質の高い睡眠
結果は耳栓・アイマスク群が有意に睡眠の質を改善しました。対照群は手術後の睡眠の質がかなり低下しています。不安についても評価しましたが、影響は見られていません。
個人的にも寝るときに耳栓は利用していて、他の部屋からのテレビの音や外の音を防いでいます。眠れないほどではありませんが、耳栓をしてからの方が寝付きやすくなりました。うるさいと思ったら、耳栓は科学的にも有効なので、試してみる価値ありです。