うるさくて眠れないときの耳栓は科学的にどこまで効果ある?

2019年4月23日

耳栓

 

うるさくて眠れないときの耳栓を使うのは自然です。今回紹介する研究では耳栓が睡眠の質を改善しました。

 

耳栓の研究は主に集中治療室患者向けに行われている

耳栓の研究は主に集中治療室の不眠問題をテーマに実験されています。

 

集中治療室
集中治療室とは、重症な患者さんを24時間モニターして、治療できる施設のことです。あまり馴染みはありませんが、たくさんの機器が置かれているため、光や騒音による不眠が問題になっています。

 

2013年に行われた調査(1)では、平均45dBAの騒音で50%以上の時間で52-59 dBAを超えていました。

施設によっては、85dBAを超える騒音が一晩で16回起きているという結果も出ています。あまり馴染みのない単位なので、わかりづらいですが、以下が目安です。

 

100dBA カラオケ店内、自動車のクラクション
80dBA 怒鳴り声、テレビの大音量
60dBA 目覚まし時計、チャイム

 

簡単に言ってしまうと、超うるさい部屋で患者さんが不眠に悩んでいるから、耳栓でどれだけ睡眠が改善するのよという実験です。集中治療室は一般人とかけ離れていますが、日々騒音に悩まされているなら、かなり参考になるでしょう。

 

眠れない理由
科学が教える不眠の原因!眠りが浅くなる理由をまとめてみた

 

耳栓とアイマスクが睡眠を改善したランダム化比較試験

心血管手術を受けた患者の睡眠の質・不安に対する耳栓とアイマスクの効果を評価したRCT(2)では、睡眠の質を改善するとわかりました。この研究は心臓手術を受けている86人の患者を対象として行われました。

主な評価はPSQI(ピッツバーグ睡眠品質指数)とSTAI(不安インベントリフォーム)で測定しています。で、患者さんは「耳栓・アイマスク群」「なし(対照群)」に分けています。そして、結果は以下のような感じ。

 

介入群(43人) なし群(43人)
術前PSQI 6.76 5.79
術後PSQI 6.27 8.13

※PSQIはスコアが低いほど、質の高い睡眠

 

結果は耳栓・アイマスク群が有意に睡眠の質を改善しました。対照群は手術後の睡眠の質がかなり低下しています。不安についても評価しましたが、影響は見られていません。

個人的にも寝るときに耳栓は利用していて、他の部屋からのテレビの音や外の音を防いでいます。眠れないほどではありませんが、耳栓をしてからの方が寝付きやすくなりました。うるさいと思ったら、耳栓は科学的にも有効なので、試してみる価値ありです。

 

 

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