ぶっちゃけ睡眠障害でない正常な人に認知行動療法は効くのか問題

2019年7月9日

健康な睡眠

 

睡眠障害を持たない健康な成人を対象としたメタ分析では、認知行動療法で睡眠を改善できると証明されました。

 

正常な睡眠の人と認知行動療法を調査した系統的レビューとメタ分析

この研究(1)は睡眠障害を持たない成人における認知行動療法の有効性を評価するための系統的レビュー・メタ分析です。論文を精査した結果、11件が選択基準を満たしていました。

合計サンプル数は1082人で、含まれた研究は7カ国で行われたものです。対象になった研究で多かった認知行動療法は以下のような感じ。

 

診断内容

  1. ストレス管理/リラクゼーション:最も多い
  2. 瞑想
  3. 呼吸法
  4. 刺激制御療法
  5. 睡眠衛生指導
  6. 運動

 

この研究では認知的/行動的介入なので、ストレス管理や運動、瞑想なども含まれています。ちなみにこの研究は睡眠制限療法が含まれていないのが残念な点です。

結果は以下のような感じ。

 

結果

  • 認知行動療法は全体的な睡眠の質に対して中程度の効果をもたらした
  • 主観的な睡眠の質や時間に対しては小さい効果だったが、有意差があった
  • ベースラインで睡眠状態が悪い人ほど、効果が大きかった

 

これらの結果から、睡眠障害のない人でも認知行動療法で睡眠を有意に改善できるとわかりました。改善されたのは睡眠時間と睡眠の質の2つでしたね。

また睡眠の状態が悪い人ほど、大きな効果が示されています。逆に言えば、睡眠状態が深刻ではない人で改善の余地が小さいわけです。そもそも健康な人はそれほど効果がないので、その辺りはご注意ください。

今回の結果について著者は以下のように述べています。

 

全体的な睡眠の健康に中程度の強い効果をもたらすが、認知と行動の要素を用いた介入は改善の余地を示しており、睡眠の健康が正常に回復する正確なメカニズムはまだ研究されていない。睡眠健康を改善することを目的とした自己調節戦略を促進する広範な介入のさらなる研究が大いに必要であり、本レビューはその有効性を支持する。

 

不眠症ではない正常な睡眠の人でも効果はありましたが、まだまだ研究は必要そうですね。ひとまず認知行動療法が健常者でも有効ということで、安心しました。

それではぜひ参考に。

 

  あなたにオススメの記事 

Copyright© ネクストサピエンス│ビジネスパーソンの科学メディア , 2023 All Rights Reserved.