このページでは、ブルーライトカットメガネの科学的根拠を解説していきます。
ブルーライトカットメガネが不眠を改善したRCT
ブルーライトカットメガネのランダム化比較試験(1)が2017年に発表されています。この研究は14人の不眠症持ち男女を対象としました。参加者は以下の2つに無作為で分けています。
グループ分け
- オレンジ色のブルーライトカットメガネ群
- 透明レンズのメガネ群(対照)
7日間の実験で、就寝前の2時間に着用しました。参加者の方には毎日就寝時間と覚醒時間、着用時間、睡眠の質問表を記録してもらっています。結果は以下のような感じ。
結果
- 不眠症のスコアが有意に減少
- 不眠症の重症度も減少
- 睡眠時間・睡眠の質ともに有意に改善
総じて透明レンズよりもオレンジ色のレンズが睡眠を改善したわけです。ただ生理学的な調査が行われていないのは辛いところ。また不眠症の成人を対象にしているので、健康な成人にどこまで適応するかはわかりません。
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メラトニンの抑制を有意に減少させたRCTも
ブルーライトカットメガネの生理学的な研究(2)もあります。この研究は13人の10代男性を対象として、「ブルーライトカットレンズ」と「透明レンズ」に分けて比較しました。期間は同じく1週間で、以下のような流れで実験しました。
実験の流れ
- 睡眠時間の5.5時間前に集合
- 最初の2時間は薄明かりで過ごしてもらう
- 後の3時間はLEDバックライト付きのコンピュータ画面にメガネを付けて3時間着席
- その後、唾液サンプルやアンケートを記入して完了
結果は以下のような感じ。
結果
- ブルーライトカット群は主観的眠気が増加
- ブルーライトカット群はメラトニンの抑制が有意に減弱
- ブルーライトカット群は警戒レベルが小さくなった
これらの結果からブルーライトカットメガネは主観的・認知レベルで、光の活性化効果を弱めるとわかります。ブルーライトはメラトニンの抑制効果があるので、自然といえば自然な結果です。
とはいえブルーライトカットメガネの証拠はまだ不十分という系統的レビュー
ブルーライトカットメガネの効果については、2017年に系統的レビュー(3)が発表されています。118件の文献を精査した結果、3件のRCTが残りました。結果は以下のような感じ。
結果
- ブルーライトの高ブロック群は眼疲労を減少
- 「高ブロック」「低ブロック」「対照レンズ」で眼疲労に有意差なし
- 睡眠の質をわずかに改善
- ブルーライトカットレンズに悪影響の報告なし
色々と結果は出ていますが、眼精疲労や睡眠の質の改善に関して質の高い証拠が特定できませんでした。そもそもブルーライトカットメガネの研究は質が高いものが少なく、3件とも選択バイアスの危険性があります。残念な結果ですが、今はまだ研究不足といえます。
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個人的にはブルーライトカットメガネを愛用
研究ではまだ不明確な部分もありますが、個人的には試してみる価値があると思っています。夕方以降にスマホやパソコンはかなり使っているので、防止策としては手軽でいい感じです。
オレンジレンズなら何でも良いと思いますが、個人的に使っているのは「Spectra479」というメガネです。ブルーライトのカット率は99.9%(280-510nm)で、体内リズムが最も敏感な479nmの光もカットしてくれます。デザインもサングラスに近いので、ぜひ参考にしてみてください。