労働時間を14ヶ月にわたって25%短縮させた研究では、睡眠とストレスが大幅に改善したと発表されました。
就業時間の短縮と睡眠・ストレスの研究
この研究(1)は580人の従業員を含む33の職場を対象として行われました。参加した会社の業種は主に4つです。
参加者の業種
- 社会サービス:管理職やソーシャルワーカー
- 技術サービス:空港労働者や駐車警備員
- 介護・福祉:保育園や病院、家庭での介護者
- コールセンター
33の職場は以下の2つにランダムで分けています。
グループ分け
- 介入群(17):労働時間を25%短縮
- 対照群(16)
介入群は14ヶ月間にわたって労働時間を25%短縮しました。労働時間の短縮とはいっても、給与は維持して他の従業員の作業負荷を避けるために他の職員を募集する資金も出ています。
それから以下の内容を記録してもらいました。
記録した内容
- 就寝時間
- 起床時間
- 眠るまでの時間
- 主観的な不安やストレス
- 主観的な睡眠の質
後はデータ分析をして、結果は以下のような感じ。
結果
- 介入群は主観的な睡眠の質を改善し、睡眠時間を23分長くした(全期間)
- 介入群は眠気や知覚ストレス、不安、就寝時ストレスを減少させた
- 年配の従業員、家庭をもつ女性は労働時間短縮の恩恵を受けなかった
- 睡眠の質が元々悪い人は休日でも不安やストレスが少なかった
これらの結果から、25%の労働時間短縮は睡眠や不安、ストレスを改善するとわかりました。しかし、年配の従業員や家庭をもつ女性では効果が見られませんでした。論文では以下の2つの理由が挙げられています。
- 年齢による影響
- 家庭の仕事を含み元々仕事量が多い
仕事量を減らしても、家庭の仕事があるとパフォーマンスが上がらないのはツライところです。
また今回の結果を解釈するときは注意が必要です。
この研究の結果は、給与が維持されない場合に一般化されるべきではない。確かに給与を維持することは労働時間短縮介入のコストを増加させるが、高い自己申告のストレスや睡眠障害、眠気の上昇はより高い事故や労働災害リスク、低い作業能力、低い生産性、健康関連問題のリスク増加と関連していることに留意すべきである。したがって、十分な睡眠や低ストレスレベル、高レベルの日中覚醒を有する従業員は仕事の生産性や関連するコストの両方に正の関連がある可能性がある。
給料を削って労働時間を短縮するのは今回の結果を再現できるかは不明なので注意しましょう。余暇時間をプレゼントでパフォーマンスが上がった研究もあるので、そちらも参考に。
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お金よりも時間をプレゼントしたら従業員のパフォーマンスが25%上がった話
労働時間を短縮するのは思った以上に効果的かもしれませんね。
それではぜひ参考に。
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