今回はストレスが細胞死をもたらした動物実験を紹介します。
ストレスが細胞の増殖や生存にどんな影響を与えるか
この研究(1)はストレスが細胞や神経に与える影響を調査した動物実験です。実験では2匹のオスラットと1匹のメスラットで、構成された居住コロニーを6つ作りました。
それから新しいオスラット(侵入ラット)を「3匹のラットがいるゲージ」か「ラットのいないゲージ」に20分入れました。すると、侵入ラットはすでにいたオスラット2匹に押さえつけられたり噛みつけられたりしました。ちなみに実験では侵入ラットの3分の2が居住ラットから攻撃を受けています。
そして、ストレスを受けたラットから血液サンプルをとって、実験は終了しました。結果は以下のような感じ。
結果
- 侵入ラットは対照の6倍以上のコルチゾール(ストレスホルモン)レベルだった
- ストレスを受けたときに生成された細胞は短期生存が少なかった(対照の3分の1)
- ストレスを与えた1ヶ月後に分化した細胞数は33%減少していた
これらの結果から、ストレスが海馬における増殖細胞の短期的な生存とニューロンの長期生存の両方を減少させるとわかりました。言い方を変えれば、ストレスが細胞分化を妨げて、細胞死をもたらしたといってもいいです。
今回はマウス実験ですが、人でも海馬への影響は確認されています。ちなみに著者はうつ病との関連も語っていました。
神経新生の低下がうつ病の一因であるという証拠を考えると、ストレスの多い体験後の神経新生の回復は、臨床的うつ病の生物学的基盤を理解する上で有用である可能性がある。
こういう実験を見ると、ストレス対策は必須だと感じますね。
それではぜひ参考に。
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