研究では強いストレスがBDNFを減少させて海馬の小さい体積と関連が見られました。BDNFとは、脳細胞の増加に必要なタンパク質のことです。主に神経細胞の成長や維持が役割となっています。ざっくり言うと、脳の栄養みたいなものですね。
高いストレスとBDNFの関係
この研究(1)は49人の精神疾患患者と30人の健康な人を対象に行われました。調査したのは以下の通りです。
調査したもの
- BDNF
- インターロイキン-6:炎症や免疫に関わる物質
- TNF-α:腫瘍壊死因子唾液コルチゾール:ストレスホルモン
- 海馬体積をMRIスキャン(19人のみ)
主にストレスや脳に関わる要素です。
結果は以下のような感じ。
結果
- 精神病持ちはBDNF遺伝子発現の減少
- 精神病持ちはインターロイキン6やTNF-αの増加示した
- 精神病持ちはストレスが有意に高かった
- 日中のストレスホルモンやBDNFレベルは左の海馬体積と関係していた
これらの結果は炎症の増加やストレスホルモンの増加とともにBDNFが減少し、左海馬の小さい体積に関係していると考えられます。他の研究も含めて言うと、ストレスがBDNFレベルに悪影響を及ぼすという考えを支持しているとか。しかも、この影響は精神病持ちに強く現れます。
著者は以下のように述べています。
高レベルのストレスとBDNF発現の減少との間に観察された関連性は別の解釈をすることができる。例えば、逆の因果関係を通じて、BDNF発現の減少は、これらの患者における認知能力および性格特性に対する影響を通じて、ストレッサーの数の増加につながる可能性がある。
どちらにせよ、高いストレスとBDNFの減少は関連しています。あらためてストレス発散の重要性がわかりますね。
それではぜひ参考に。