ストレス発散法として歌を挙げる人は少なくありません。これは科学的にも正しくて、約1時間の歌が有意にストレスホルモンを減少させたと発表されています。
歌によるストレス解消効果を検証した研究
この研究(1)はがんに影響を受けた193人を対象として、毎週合唱団のリハーサルに参加してもらいました。がんに影響を受けた人の内訳は以下のような感じ。
グループ分け
- がん患者の遺族:72人
- 遺族介護者:66人
- がん患者:55人
参加者は70分のリハーサルで、ウォームアップや新しい歌の練習などをしました。そのときには不安やうつ病スコアの測定や唾液サンプルの収集を行っています。結果は以下のような感じ。
結果
- 気分はプラスの影響が増加し、マイナスの影響が減少した
- 主観的なストレスが減少した
- 唾液コルチゾールやニューロペプチドレベルが有意に減少した
- βエンドルフィンやオキシトシンも減少した
これらの結果から、1時間の歌が気分の改善やコルチゾール・βエンドルフィン・オキシトシンの減少と関連しているとわかりました。まさかここまで生理学的な指標が改善するとはビックリです。
論文では歌が広範な免疫効果を示す初の研究と書かれています。音痴の自分としてはツライですが、本当にすごい。
ただ疑問なのはいわゆるストレスホルモンと呼ばれるエンドルフィンやオキシトシンの減少と関連している点です。このあたりはストレス反応のダウンレギュレーションとして説明されています。
メモ
ダウンレギュレーションとは、下方制御のことです。過度な刺激や継続的な刺激によって、神経物質やホルモンが低下することを言います。つまり、幸せホルモンはストレスで増えていたが、歌によって減少したというわけですね。
著者は以下のように述べています。
どちらのホルモンも幸福感と関連している。しかし、両方ともストレス調節に関与しており、様々なストレス刺激によって、血圧や心拍数、ノルエピネフリンを低下させる。実際、ベータ-エンドルフィンはストレスホルモンとともに下垂体によるストレス応答において調節されているという示唆さえある。ここまでの結果を考えると、この減少は社会的な結び付きや幸福に関連したストレス反応の全般的なダウンレギュレーションの一部であるようである。
ストレス発散としてカラオケに行くというのは科学的にも合理的な選択だとわかりました。歌好きな人は中々いい感じですね。
それではぜひ参考に。